知的障害者施設訓練等支援費等国庫負担金(以下「負担金」という。)は、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)に基づき、知的障害者の福祉を図ることを目的として、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、都道府県知事の指定する知的障害者更生施設等から知的障害者施設支援(以下「指定施設支援」という。)を受けた知的障害者に対して、指定施設支援に要した費用について施設訓練等支援費等を支給した場合等に、その費用の一部を国が負担するものである。
また、市町村は、知的障害者に支給すべき施設訓練等支援費等について、指定施設支援を行った知的障害者更生施設等に対して支払うことができることとなっており、この場合、知的障害者に対して施設訓練等支援費等の支給があったものとみなされる。
負担金の交付額は、交付要綱等に基づき、施設訓練等支援費等の費目ごとに次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金の額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 施設訓練等支援費を含む一部の費目については、〔1〕 により選定された額から、所定の方式によって算定した利用者負担基準額等を控除する。
〔3〕 〔1〕 又は〔2〕 により算定された額を国庫負担対象事業費として、これに補助率10分の5を乗じて得た額を交付額とする。
なお、負担金の交付対象である施設訓練等支援費等は、平成18年10月以降、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づく障害者自立支援給付費負担金の交付対象となり、本件負担金の交付対象ではなくなった。
本院が、24都道府県の187市区町村において会計実地検査を行ったところ、3道県の3市において、負担金の算定に当たり、対象経費の集計を誤ったり、知的障害者更生施設等からなされた施設訓練等支援費の請求取下げなどによる減額分を対象経費の実支出額から控除しなかったりなどしていたため、負担金5,181,133円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3市において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、3道県において、事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
一関市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、誤って、知的障害者更生施設等からなされた請求取下げなどによる減額分を控除していないなどしていた。
この結果、国庫負担対象事業費が2,770,191円過大に算定されており、これに係る負担金1,385,096円が過大に交付されていた。
以上を道県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
道県名 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(588) | 北海道 | 恵庭市 | 18 | 180,991 | 90,495 | 5,256 | 2,628 | 対象経費の集計を誤っていたものなど |
(589) | 岩手県 | 一関市 | 18 | 378,182 | 189,091 | 2,770 | 1,385 | 対象経費から減額分を控除していなかったものなど |
(590) | 三重県 | 津市 | 18 | 492,166 | 246,083 | 2,335 | 1,167 | 対象経費の集計を誤っていたものなど |
(588)—(590)の計 | 1,051,339 | 525,669 | 10,362 | 5,181 |