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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

障害児施設措置費(給付費等)国庫負担金が過大に交付されていたもの


(21) 障害児施設措置費(給付費等)国庫負担金が過大に交付されていたもの

2件 不当と認める国庫補助金 12,041,288円

 障害児施設措置費(給付費等)国庫負担金(以下「負担金」という。)は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)の規定に基づき、障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、都道府県等が知的障害児施設等の障害児施設に児童を措置した場合に入所等に要する費用(以下「措置費」という。)及び児童の保護者の申込みにより都道府県知事が指定する知的障害児施設等から障害児施設支援を受けた場合に、都道府県等が当該保護者に支給する障害児施設給付費等(以下「給付費等」という。)の一部を国が負担するものである。
 なお、障害児施設の利用については、平成18年10月以降、従来の措置制度から原則として契約制度に移行し、措置による入所は、保護者が不在であるなどのため利用契約の締結が困難な家庭の児童に限られることとなった。このため、18年9月までは措置費のみ支給されていたが、同年10月以降は措置費及び給付費等が支給されている。
 負担金の交付額は、交付要綱等に基づき算定することとなっており、このうち措置費については、以下のとおりとなっている。
〔1〕  所定の方式によって算定した障害児施設への支弁総額と児童等の措置のために要した費用(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄附金を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕  〔1〕 により選定された額から、児童の扶養義務者の前年分の所得税等の税額等による階層区分によって定められた徴収金基準額(以下「徴収金」という。)を控除した額を国庫負担対象事業費として、これに補助率2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、対象経費の実支出額の算定に当たっては、都道府県等が、管内の障害児施設に他の都道府県等が措置した児童等を受け入れた場合、当該児童等に係る措置費相当額を他の都道府県等から収入として受け入れることから、他の都道府県等が措置した児童等に係る措置費は計上しないこととされている。
 また、給付費等については、障害児施設支援に要する費用につき、厚生労働大臣が定めた基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額から寄附金その他の収入を控除した額を国庫負担対象事業費として、これに補助率2分の1を乗じて得た額を交付額とすることとなっている。そして、基準により算定した費用の額の100分の10に相当する額は、原則として障害児の扶養義務者等が負担する(以下、この額を「利用者負担額」という。)こととなっており、利用者負担額は負担金の交付対象とはならない。
 本院が、5都府県において、会計実地検査を行ったところ、2県において、負担金の算定に当たり、誤って、対象経費の実支出額に他の都道府県等が措置した児童等に係る措置費等を計上したり、徴収金の算定を誤っていたり、給付費等に利用者負担額を含めて計上したりしていたため、負担金12,041,288円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2県において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額等の調査確認が十分でなかったこと、厚生労働省において、事業主体に対する適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 岐阜県は、対象経費の実支出額の算定に当たり、同県の障害児施設に受け入れている他県等が措置した児童に係る措置費について計上してはならないのに、誤って、これを計上したり、徴収金について、児童の扶養義務者の税額等による階層区分によって定められた金額ではなく、誤って、実際に収納した金額で算定したりするなどしていた。
 この結果、国庫負担対象事業費が12,327,338円過大に算定されており、これに係る負担金6,163,669円が過大に交付されていた。

 以上を県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

県名 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
千円 千円 千円 千円
(591) 岐阜県 岐阜県 障害児施設措置費 18 857,543 428,771 12,327 6,163 対象外経費を計上していたものなど
(592) 香川県 香川県 障害児施設措置費(給付費等) 17、18 2,164,913 1,082,456 11,755 5,877 徴収金の算定を誤っていたものなど
(591)(592)の計 3,022,457 1,511,228 24,082 12,041