障害者医療費負担金(以下「負担金」という。)は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)に基づき、障害者及び障害児(以下「障害者等」という。)の福祉の増進を図ることなどを目的として、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、都道府県知事等の指定する医療機関から自立支援医療を受けた障害者等に対して、自立支援医療に要した費用(以下「自立支援医療費」という。)を支給した場合等に、その費用の一部を国が負担するものである。
自立支援医療は、平成18年4月の法等の施行に伴い、改正前の児童福祉法(昭和22年法律第164号)における育成医療、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)における更生医療、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)における精神通院医療が統合・再編されたもので、障害者等は、自立支援医療の種類ごとに都道府県又は市町村による支給認定を受けて、同年同月以降に自立支援医療を受けた場合に、自立支援医療費が支給される。
このうち、更生医療は、身体障害者福祉法に規定する身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該身体障害者に対して行われる更生のために必要な医療であり、市町村が実施主体となっている。
負担金の交付額は、交付要綱に基づき、次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、自立支援医療費の支給に要した費用(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額を国庫負担対象事業費として、これに補助率100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、24都道府県の187市区町村において会計実地検査を行ったところ、2県の2市において、負担金の算定に当たり、対象経費の集計を誤るなどしていたため、負担金6,151,234円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2市において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、2県において、事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
筑紫野市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、更生医療に係る対象経費の集計を誤って10,148,282円過大に算出していた。
この結果、国庫負担対象事業費が同額過大に算定されており、これに係る負担金5,074,141円が過大に交付されていた。
以上を県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
県名 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(593) | 愛知県 | 清須市 | 18 | 9,853 | 4,926 | 2,154 | 1,077 | 対象外経費を計上していたもの |
(594) | 福岡県 | 筑紫野市 | 18 | 21,132 | 10,566 | 10,148 | 5,074 | 対象経費の集計を誤っていたもの |
(593)(594)の計 | 30,985 | 15,492 | 12,302 | 6,151 |