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児童手当交付金が過大に交付されていたもの


(27) 児童手当交付金が過大に交付されていたもの

1件 不当と認める国庫補助金 2,491,644円

 児童手当(以下「手当」という。)は、市町村(特別区を含む。)が、児童手当法(昭和46年法律第73号)に基づき、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的として、日本国内に住所を有し、小学校修了前(平成17年度は小学校第3学年修了前)までの児童(以下「児童」という。)を監護し、かつ、生計を同じくする父母等(以下「受給資格者」という。)に対して支給するものである。国は、手当の支給に要する費用の一部を児童手当交付金として交付している(表1参照)

表1  手当の種類別の負担割合(平成17年度以降)
手当の種類 負担割合
都道府県 市町村
被用者 児童手当 8/10
(9/10)
1/10
(0.5/10)
1/10
(0.5/10)
特例給付 10/10
小学校修了前特例給付 1/3 1/3 1/3
非被用者 児童手当 1/3
(4/6)
1/3
(1/6)
1/3
(1/6)
小学校修了前特例給付 1/3 1/3 1/3

注(1) 負担割合欄の括弧書きは、平成17年度の負担割合である。

注(2) 被用者の児童手当及び特例給付における国の負担割合は、事業主負担分を含んでいる。

注(3) 小学校修了前特例給付は、平成17年度は小学校第3学年修了前特例給付

 手当は、毎年2月、6月及び10月の3回、所定の額(月額で、19年度以降は3歳未満の児童が10,000円、3歳以上の児童は第1子及び第2子が5,000円、第3子以降が10,000円、18年度以前は第1子及び第2子が5,000円、第3子以降が10,000円)を支給することとなっているが、受給資格者の前年(1月分から5月分までの手当については前々年)の所得が表2の所得制限限度額(所得税法(昭和40年法律第33号)に規定する扶養親族等の数に応じて定められている額)以上の場合は、手当を支給しないこととなっている。

表2 受給資格者の所得制限限度額(平成17年度以降)
扶養親族等の数 受給資格者の所得制限限度額
被用者 非被用者
0人 5,320,000円
(4,600,000円)
4,600,000円
(3,010,000円)
1人 5,700,000円
(4,980,000円)
4,980,000円
(3,390,000円)
2人 6,080,000円
(5,360,000円)
5,360,000円
(3,770,000円)

注(1) 扶養親族等が3人以上の場合、1人増えるごとにそれぞれ380,000円を加算する。

注(2) 括弧書きは平成17年度の所得制限限度額である。

 また、父母がともに児童を監護し、かつ、生計を同じくする場合、当該児童は、父母のいずれかのうち児童の生計を維持する程度のより高い者によって監護され、かつ、この者と生計を同じくするものとみなされる。
 事業主体は、受給資格者から児童手当・特例給付・小学校修了前特例給付認定請求書(17年度は児童手当・特例給付・小学校第3学年修了前特例給付認定請求書。以下「認定請求書」という。)が提出された場合、受給資格者の児童の監護状況、生計の維持状況、配偶者の有無、受給資格者等の所得等を調査確認して、支給要件を満たすと認定したときは、手当を支給することとなっている。
 また、事業主体は、毎年6月に、手当の受給者から児童手当・特例給付・小学校修了前特例給付現況届(17年度は児童手当・特例給付・小学校第3学年修了前特例給付現況届。以下「現況届」という。)を提出させて、受給資格や受給者等の前年の所得等について調査確認して、支給要件を満たさない場合には、支給停止の手続を行うこととなっている。

 本院が、23都道府県の146市区町において、会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 児童手当支給額 左に対する交付金 支給すべきでなかった児童手当の額 不当と認める交付金 摘要
千円 千円 千円 千円
(603) 厚生労働本省 倉敷市 17〜21 6,145 2,744 5,595 2,491 支給要件を満たしていない者に対して支給していたもの

 倉敷市は、児童A、児童B及び児童Cを監護し、生計を同じくする父Dについて、提出された認定請求書により手当の受給資格があると認定していた。そして、父Dから提出された16年から21年までの現況届等によれば、父Dの15年から20年までの各年の所得がいずれも所得制限限度額未満であったことなどから、17年度190,000円、18年度230,000円、19年度240,000円、20年度190,000円、21年度180,000円、計1,030,000円の手当を支給していた。
 しかし、実際には、父Dとともに児童を監護し、かつ、生計を同じくしている母Eがおり、母Eの15年から20年までの各年の所得についてみると、いずれも父Dよりも児童の生計を維持する程度が高く、かつ、所得制限限度額以上となっていることなどから、17年度から21年度までに係る上記の手当は支給の必要がなかった。
 そして、同市では、このような事態が、上記を含め、17年度受給者7人、18年度受給者11人、19年度受給者10人、20年度受給者11人、21年度受給者12人において見受けられた。このため、17年度から21年度までの間において、同市に対する交付金が計2,491,644円過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において、受給者の配偶者についての調査確認が十分でなかったこと、制度について理解が十分でなかったことなどによると認められる。