都道府県労働局(以下「労働局」という。)は、労働保険料が督促状に指定された納期限を経過して完納されたときには、延滞金を徴収することとされている。そして、労働保険料が完納された時点で、延滞金について調査決定等を行い、延滞金の納付がない場合には、未納となっている延滞金について債権管理等を行うこととされている。しかし、労働保険料完納時に未納となっている延滞金について、調査決定等を行っておらず、債権管理簿において管理を行っていない事態や、滞納事業主に納付書の送付がなされていないものがあるなど納入督励等を実施していない事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、未納となっている延滞金について会計法令等に基づき適切に調査決定等を行うとともに、的確な納入督励等を実施させるための体制を整備するなどの処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、厚生労働本省等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 労働局に対して、21年10月に開催した労働保険適用徴収ブロック会議(以下「ブロック会議」という。)等において、未納となっている延滞金について速やかに調査決定等を行い、債権管理簿に記載するよう指示し、22労働局で債権管理簿の記載を完了させた。
イ 労働局に対して、ブロック会議等において、会計法令等を遵守して調査決定等を行うよう周知徹底するとともに、未納となっている延滞金について納入督励等を実施するよう指導し、27労働局で納入督励等を実施させた。
ウ21年10月に「徴収関係事務取扱手引(徴収・収納)」(平成20年3月基発0331008号厚生労働省労働基準局長通知)の改訂を行うなどして債権管理の事務手続を整備して、これをブロック会議等において労働局に対して周知した。
エ 労働局における事務の負担を軽減するため、延滞金の額を自動的に算定するなどのプログラムを開発して、22年4月から運用を開始した。
そして、厚生労働省は、未納となっている延滞金について、調査決定等を行い、債権管理簿に記載することを完了していない24労働局に対して早期にこれを完了させるとともに、納入督励等を実施していない17労働局に対して引き続き早期にこれを実施させるよう指導するとしている。