会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | |
(項)農林水産本省共通費 等 | |||
平成19年度以前は、 | |||
(組織)農林水産本省 | |||
(項)農林水産本省 等 | |||
(組織)農林水産技術会議 | |||
(項)農林水産業技術振興費 等 | |||
(組織)地方農政局 | |||
(項)地方農政局 等 | |||
食料安定供給特別会計(業務勘定) | |||
(項)事務取扱費等 | |||
平成18年度以前は、 | |||
食糧管理特別会計(業務勘定) | |||
(項)事務費 等 | |||
農業経営基盤強化措置特別会計 | |||
(項)事務取扱費 | |||
(国営土地改良事業勘定)(平成19年度以前は、国営土地改良事業特別会計) | |||
(項)土地改良事業費 | |||
部局等 | 4農政局 | ||
経費の概要 | 物品の購入等に係る庁費等 | ||
不適正な会計経理により支払われた金額 | 136,816,756円(平成16年度〜20年度) |
農林水産省の地方農政局は、一般会計及び食料安定供給特別会計(平成18年度以前は食糧管理特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計及び国営土地改良事業特別会計、19年度は食料安定供給特別会計及び国営土地改良事業特別会計。以下「食料特会」という。)において、毎年度多額の予算を執行しており、業務で使用する物品の購入等に係る経費については、庁費等の予算科目から支払っている。
そして、地方農政局における物品の購入等に係る契約、支払等の会計事務手続は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に基づき、おおむね次のとおり行われることとなっている。
〔1〕 物品管理官(一般会計においては地方農政局長(注1) 、食料特会においては地方農政局長又は地方農政局食糧部長)は、物品供用官(一般会計、食料特会ともに地方農政局総務部総務課課長補佐等)等からの払出請求を受けたときは、所要の物品の品目、数量等を明らかにした上で、支出負担行為担当官(一般会計においては地方農政局長、食料特会においては地方農政局長又は地方農政局食糧部長)に物品取得請求を行い、支出負担行為担当官は競争契約による場合は入札を、また随意契約による場合は見積合わせを行うなどした上で、契約業者を決定し、支出負担行為決議を行って契約を締結する。
〔2〕 支出負担行為担当官は、上記の契約が適正に履行されたかを確認するために、自ら又は補助者として任命した検査職員に命じて、納入された物品の品目、数量、納品時期等について、契約書、仕様書等に基づき、必要な検査(以下「検収」という。)を行い、検査調書を作成する。
〔3〕 官署支出官(一般会計においては地方農政局総務部長、食料特会においては地方農政局食糧部長又は総務部長)は、業者から代金の支払請求を受けたときは、検収が適正に行われたことを確認の上、請求書等に基づき支出決議を行い、業者に代金を支払う。
なお、上記の会計事務手続において、物品管理官、支出負担行為担当官及び官署支出官は、それぞれの事務の一部を、地方農政局総務部会計課長等を補助者に任命するなどして行わせている。
本院は、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、4農政局(注2) において、16年度から20年度までの間に締結した物品の購入等の契約を対象として、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、4農政局において、16年度から20年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたものが、計851件、136,816,756円あった。
これを態様別に示すと次のとおりである(表参照)
。
ア 一括払
支出負担行為等の正規の会計経理を行わないまま、随時、業者に物品等を納入させた上で、後日、納入された物品等とは異なる物品等の請求書等を提出させて、これらの物品等が納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより庁費等を一括して支払っていたもの 2農政局、7件、支払額2,422,917円
イ 差替え
業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品等が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより庁費等を支払い、実際には契約した物品等とは異なる物品等に差し替えて納入させていたもの 2農政局、4件、支払額306,984円
ウ 翌年度納入
物品等が翌年度に納入されているのに、検査調書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの 4農政局、208件、支払額73,050,153円
エ 先払い
物品等は年度内に納入されていたが、検査調書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、実際に物品等が納入されるよりも先に庁費等を支払っていたもの 2農政局、4件、支払額242,917円
オ 前年度納入
物品等が前年度に納入されていたのに、検査調書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの 4農政局、20件、支払額3,575,402円
カ 契約前納入
年度内において、契約手続を行わないまま物品等を納入させていたのに、検査調書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が契約締結後に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの 3農政局、608件、支払額57,218,383円
態様
\ 農政局名
|
年度 | ア 一括払 |
イ 差替え |
ウ 翌年度納入 |
エ 先払い |
オ 前年度納入 |
カ 契約前納入 |
計 | |
(608) | 東北 | 平成 16〜20 |
6 | 1 | 102 | 2 | 6 | 211 | 328 |
2,325,099 | 85,680 | 24,822,816 | 170,860 | 1,567,940 | 22,746,521 | 51,718,916 | |||
(609) | 北陸 | 16、17 | 4 | 1 | 5 | ||||
13,311,165 | 85,680 | 13,396,845 | |||||||
(610) | 東海 | 16〜20 | 74 | 2 | 2 | 313 | 391 | ||
9,507,123 | 72,057 | 1,175,427 | 27,859,508 | 38,614,115 | |||||
(611) | 中国四国 | 16〜20 | 1 | 3 | 28 | 11 | 84 | 127 | |
97,818 | 221,304 | 25,409,049 | 746,355 | 6,612,354 | 33,086,880 | ||||
計 | 7 | 4 | 208 | 4 | 20 | 608 | 851 | ||
2,422,917 | 306,984 | 73,050,153 | 242,917 | 3,575,402 | 57,218,383 | 136,816,756 |
これらのアからカの事態は、4農政局において、契約した物品等が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど、不適正な会計経理を行って庁費等計136,816,756円を支払っていたもので、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、4農政局において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することについての認識が欠如していたこと、物品の検(けん)収、契約事務の決裁等に係る内部牽制が十分でないなど内部統制が十分機能していなかったことなどによると認められる。