面的集積強化促進事業において、農用地の面的集積が行われておらず、事業の一部が補助の対象とならないもの
面的集積強化促進事業は、担い手にとって真のコストダウンにつながる面的なまとまりある形での農用地の利用集積(以下「面的集積」という。)を促進するため、担い手及び当該担い手への面的集積を進めることに同意する者が面的集積を行った場合に、事業主体が、農用地の所有者等で構成される農用地利用改善団体に対して面的集積を促進するための経費(以下「面的集積促進費」という。)を交付するものであり、面的集積促進費に対して国庫補助金が交付されている。
そして、面的集積促進費の算定対象となる農用地(以下「対象農用地」という。)は、同一の集積対象者(面的集積を図ろうとする農用地を利用する担い手をいう。以下同じ。)によって耕作される農用地が1ha以上(北海道については3ha以上)のまとまりを構成するなどの要件を満たす農用地であること、集積対象者に対して、所有権を移転し、又は期間6年以上の利用権を設定し、若しくは期間6年以上の農作業を委託する契約に係る農用地であることなどの要件を満たすものとされている。また、面的集積促進費の交付額は、面的集積された農用地を対象とする基本的な交付単価に対象農用地の面積を乗じて得た額に、奨励的な行為を行った場合の加算的な交付単価に基づく額を加えた額を上限とするとされている。
本院が、8道県及びその管内の15市町において会計実地検査を行ったところ、2県の2事業主体において、農用地の面的集積が行われていなかったため、事業の一部が補助の対象とならず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において、本件補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、2県において、本件補助事業に係る審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを部局等別・補助事業者等別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(612) | 東北農政局 | 青森県 | 十和田市 (事業主体) |
面的集積強化促進 | 19、20 | 117,337 | 64,193 | 20,832 | 10,791 |
十和田市は、市内25地区において、農用地計730.4haの面的集積を行ったとして、面的集積促進費計117,337,000円を25地区の農用地利用改善団体に交付し、本件補助事業を完了したとして、国庫補助金計64,193,000円の交付を受けていた。
しかし、上記25地区のうち20地区においては、農用地利用改善団体の構成員が、自らの所有する農用地等計680.8haについて、期間6年から10年の農作業委託契約を締結したことなどにより、当該農用地が新たに面的集積されたとしていたが、実際には、このうち計142.6haについては、上記の構成員自らが作付けしていたり、作物の作付けが行われていなかったりなどしていて、面的集積は行われていなかった。
したがって、上記20地区の農用地利用改善団体に交付された面的集積促進費計110,086,000円のうち、面的集積が行われていなかった上記の農用地142.6haに係る20,832,000円は補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金相当額計10,791,000円が不当と認められる。
(613) | 東北農政局 | 秋田県 | 仙北市 (事業主体) |
面的集積強化促進 | 20 | 11,144 | 9,122 | 4,220 | 3,560 |
仙北市は、市内3地区において、農用地計33.7haの面的集積を行ったとして、面的集積促進費11,144,000円を3地区の農用地利用改善団体に交付し、本件補助事業を完了したとして、国庫補助金9,122,000円の交付を受けていた。
しかし、上記3地区のうち1地区においては、農用地利用改善団体の構成員が、自らの所有する農用地11.0haについて、期間10年の農作業委託契約を締結したことにより、当該農用地が新たに面的集積されたとしていたが、実際には、大半の農用地について、上記の構成員自らが作付けするなどしていて、面的集積を行って1ha以上のまとまりを構成しているものはなかった。
したがって、上記1地区の農用地利用改善団体に交付された面的集積促進費4,220,000円は補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金3,560,000円が不当と認められる。
(612)(613) | の計 | 128,481 | 73,315 | 25,052 | 14,351 |