農地保有合理化法人機能強化事業は、社団法人全国農地保有合理化協会(以下「全国協会」という。)が、農地保有合理化法人機能強化事業実施要綱(平成7年7構改B第361号農林水産事務次官依命通達。以下「実施要綱」という。)等に基づき、都道府県の区域を事業実施区域とする農地保有合理化法人(以下「都道府県農業公社」という。)が有する機能の強化を図り、農用地の利用の集積の一層の促進を図るため、都道府県農業公社に対して業務運営体制の整備、強化等に要する経費を助成するもの(以下「助成事業」という。)である。
そして、農林水産省は、助成事業の実施に必要な資金の財源に充てるため、全国協会に対して国庫補助金を交付し基金を造成させており、全国協会は、実施要綱に基づき、この基金を取り崩して都道府県農業公社に対して助成を行っている。
本院が、全国協会及び20都道府県農業公社において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(623) | 農林水産本省 | 社団法人全国農地保有合理化協会 | 社団法人岩手県農業公社 (事業主体) |
農地保有合理化法人機能強化 | 16〜20 | 134,562 | 94,193 | 6,596 | 4,617 |
社団法人岩手県農業公社(以下「岩手県公社」という。)は、平成16年度から20年度までの間に、本件助成事業において、岩手県内のほ場整備実施地区における農用地の利用の集積を促進するため、各年度10名から11名の地方駐在員を雇用したとして、これに係る賃金計78,591,000円を助成対象事業費に含め、本件助成事業を計134,562,340円(助成対象事業費同額)で実施したとして、全国協会に実績報告書を提出して、これにより助成金94,193,638円の交付を受けていた。
しかし、上記の地方駐在員は、本件助成事業以外の業務にも従事しており、上記の賃金計78,591,000円には、本件助成事業以外の業務に係る賃金計6,596,001円が含まれていた。
したがって、助成対象事業費は計6,596,001円が過大に精算されており、助成金相当額計4,617,204円が過大に交付されていたことから、これに係る国庫補助金相当額計4,617,204円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、岩手県公社において、本件助成事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、全国協会において、本件助成事業に対する審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。