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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (3) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

生産条件不利補正交付金が過大に交付されていたもの


生産条件不利補正交付金が過大に交付されていたもの

(1件 不当と認める国庫補助金 40,545,680円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円
(注3)
千円
 
千円
 
千円
 
(627) 関東農政局 4農事組合法人、3集落営農組織
(注2)
及び16個人
(事業主体)
生産条件不利補正交付金交付 19〜21 268,824 268,824 40,545 40,545

 この交付金事業は、国が、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律(平成18年法律第88号)等に基づき、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正するため、4農事組合法人、3集落営農組織及び16個人(以下「23農事組合法人等」という。)に対して、標準的な生産費と標準的な販売収入額との差額が顕在化している麦等の農産物(以下「対象農産物」という。)について、対象農産物の平成16年産から18年産までにおける生産実績(以下「過去の生産実績」という。)に基づく交付金(以下「固定払交付金」という。)及び毎年の生産量・品質に基づく交付金を交付するものである。
 そして、固定払交付金の交付額は、次式のとおり算定されることとなっている。

過去(平成16年産〜18年産)の対象農産物ごとの生産実績÷市町村別の単位面積当たりの収穫量×農林水産省が対象農産物ごとに市町村別に定める面積当たりの単価

 また、農事組合法人等が、過去の生産実績を有する他の農事組合法人等と対象農産物の生産に関する農作業受委託契約(以下「農作業受委託契約」という。)を締結して、農作業を受託した場合には、委託した農事組合法人等に係る過去の生産実績を自ら有する過去の生産実績に加えることができることとされていて、加えることができる過去の生産実績は、当該法人が受託した農地面積等に基づき算定されることとなっている。
 23農事組合法人等は、生産条件不利補正交付金の交付申請等の事務手続を埼玉中央農業協同組合(以下「埼玉中央農協」という。)に委託していた。そして、埼玉中央農協は、23農事組合法人等が、農地計2,843,084m について他の農事組合法人等と農作業受委託契約を締結し、農作業を受託したとして、委託した農事組合法人等に係る過去の生産実績計2,045,372m を23農事組合法人等が自ら有する過去の生産実績計7,330,747m に加えるなどして、19年度から21年度までの固定払交付金の交付額を計248,187,991円と算出していた。23農事組合法人等は、これに基づき、関東農政局に交付申請を行い、同農政局から同額の交付金の交付を受けていた。
 しかし、上記の農作業受委託契約で対象とした農地のうち、計2,280,714m については、契約当事者双方に契約の意思がないにもかかわらず、埼玉中央農協の職員が働きかけることにより契約書を作成させるなどしていたもので、23農事組合法人等は、実際には当該農地において農作業を実施していなかった。
 したがって、上記の農地計2,280,714m に係る過去の生産実績計1,504,459m については、23農事組合法人等が自ら有する過去の生産実績に加えることができないものであり、これに係る固定払交付金、ひいては生産条件不利補正交付金計40,545,680円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、23農事組合法人等において、埼玉中央農協の職員により実態を伴わない農作業受委託に係る契約書の作成の働きかけを受けるなどして過去の生産実績を水増ししていたことにもよるが、関東農政局において、本事業の適正な取扱いについての指導が十分でなかったことなどによると認められる。

4農事組合法人  農事組合法人東松山、農事組合法人川島、農事組合法人吉見、農事組合法人らんざん営農
(注2)
3集落営農組織  泉井営農組合、大豆戸集落営農組合、須江機械化組合
(注3)
事業費  平成21年度の生産条件不利補正交付金の交付額は、21年9月末までの交付実績である。