部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(629) | 東北農政局 | 福島県 | 田村郡船引町(事業主体) | 中山間地域等直接支払交付金 | 12〜16 | 476,022 | 210,303 | 141,362 | 63,926 |
(630) | 同 | 同 | 田村郡都路村(事業主体) | 同 | 12〜16 | 211,140 | 105,570 | 4,880 | 2,440 |
(629)(630)の計 | 687,163 | 315,873 | 146,243 | 66,367 |
これらの交付金事業は、2町村が、集落協定(注2)
を締結した農業者に対して、中山間地域等直接支払交付金(以下「中山間交付金」という。)を交付したものである。中山間交付金は、平地地域との比較における中山間地域等の農業生産条件の不利性を直接的に補正するため、中山間地域等の農業者等に対して交付されるものである。そして、交付の対象となる農用地(以下「対象農用地」という。)は、山村振興法(昭和40年法律第64号)等に基づき振興山村地域等に指定されている地域等内の農用地区域内に存する農用地であって、勾配が1/100以上1/20未満の田等(以下「緩傾斜農用地」という。)で市町村長が特に必要と認めるもの、勾配が1/20以上の田等(以下「急傾斜農用地」という。)などとされている。また、農用地の勾配の測定方法については、原則として現地で実測することとされているが、測定作業の簡便化を図るなどの観点から地図を用いる場合には、1/2,500程度以上の縮尺の地図を用いることとされている。
しかし、2町村は、市町村長が特に必要と認めるものでないため交付の対象とならない緩傾斜農用地等を対象農用地に含めたり、対象農用地である緩傾斜農用地を急傾斜農用地としたりなどして交付額を算定していたため、中山間交付金が過大に交付されていて、これに係る国庫補助金相当額計66,367,257円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の2町村において、農用地の勾配の測定方法や対象農用地の区分の判定等に対する理解が十分でなかったこと、福島県において、2町村に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
船引町は、平成12年度は22集落協定、13年度は37集落協定、14、15両年度は36集落協定、16年度は37集落協定において、農用地の勾配を測定する際に、地図を用いる場合には、1/2,500程度以上の縮尺の地図を用いるべきところ1/10,000の縮尺の地図を拡大するなどして勾配を測定して急傾斜農用地と緩傾斜農用地の判定を行い、中山間交付金476,022,716円の交付を受けていた。
そこで、同町が行った実測の結果等により再判定したところ、田について勾配が1/100未満の農用地を対象農用地に含めたり、緩傾斜農用地を急傾斜農用地に含めたりしており、また、畑、草地及び採草放牧地についても田と同様に勾配の測定を誤るなどしていた。
したがって、本件中山間交付金は、適正な中山間交付金との差額141,362,163円が過大に交付されていて、これに係る国庫補助金相当額63,926,818円が不当と認められる。