部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(631) | 関東農政局 | 茨城県 (事業主体) |
— | 経営体育成基盤整備 | 20〜22 | 191,068 | 95,534 | 25,462 | 12,731 |
この補助事業は、茨城県が、東茨城郡大洗町大貫町地内において、用排水機場を新設するため、基礎杭の打設等の基礎工等を実施したものである。
同県は、「土地改良施設耐震設計の手引き」(農林水産省農村振興局整備部設計課監修。以下「手引き」という。)等に基づき、次のとおり本件用排水機場の耐震設計を行って施工していた。
ア 手引きでは、地震により被災した場合排水不良による経済活動や生活機能への影響が極めて大きい用排水機場をA種、被災による影響が大きい用排水機場又は吸水槽が建屋と一体で建設される用排水機場をB種、被災による影響が少ない用排水機場をC種とそれぞれ区分している。本件用排水機場は、吸水槽が建屋と一体で建設されることから、重要度をB種とする。
イ 本件用排水機場を施工する地盤の地震時に液状化が生ずると判定した土層に係る土質定数(注1)
について、レベル2地震動(注2)
に対する照査を行う際に適用する低減係数(注3)
(以下「レベル2低減係数」という。)を用いて低減する。
ウ 用排水機場の基礎杭については、地震時に液状化が生じても計算上安全となるよう長さ47m、外径800mm
、最大板厚16mmの鋼管杭を30本打設する。
しかし、手引きによると、重要度をB種とした用排水機場の耐震設計においては、液状化が生ずると判定された土層の土質定数を、レベル1地震動(注2)
に対する照査を行う際に適用する低減係数を用いて低減することとされているのに、同県は、誤って、レベル2低減係数を用いて土質定数を低減していた。このため、基礎杭の本数等が過大になっていると認められた。
そこで、本件基礎杭について以上に基づく適正な設計計算を行うと、長さ47m、外径700mm
、最大板厚12mm
の鋼管杭24本を打設すれば足りることとなり、これにより適正な工事費を計算すると165,606,000円となる。
したがって、本件用排水機場の基礎工等(工事費191,068,500円)は、耐震設計に用いる土質定数を誤って過大に低減して基礎杭の選定を行ったため、その本数等が過大となっていて、上記の適正な工事費との差額計25,462,500円が過大になっており、これに係る国庫補助金計12,731,250円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、耐震設計に対する理解が十分でなく、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのにこれに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。