ページトップ
  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (5) 工事の設計が適切でなかったもの

非常用自家発電設備の設計が適切でなかったもの


非常用自家発電設備の設計が適切でなかったもの

(1件 不当と認める国庫補助金 10,364,110円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(632) 沖縄総合事務局 沖縄県 島尻郡八重瀬町
(事業主体)
村づくり交付金 20 217,896 163,422 13,818 10,364

 この交付金事業は、八重瀬町が、八重瀬町字新城地内において、汚水処理施設を新設するために、放流ポンプ、流量調整ポンプ等の機械設備及び非常用自家発電設備、動力制御盤等の電気設備の設置等を実施したものである。
 このうち非常用自家発電設備(以下「発電設備」という。)は、放流ポンプ等を対象負荷設備として、これらの設備を停電時に稼働させるために設置したものである。同町は、「農業集落排水施設設計指針」(農業集落排水事業諸基準等作成全国検討委員会編集)等に基づき、放流ポンプ等の負荷容量を計24.0kW、放流ポンプの始動方式を負荷の小さいスターデルタ始動方式(注1) として、発電設備の必要容量を32.2kVAと算出し、これらに基づき容量50kVAの発電設備を設置していた。
 しかし、放流ポンプ等の負荷容量が設計変更されていたり、別途工事で設置された中継ポンプも本件発電設備の対象負荷設備となるのにこの負荷容量を計上していなかったりしており、これらを考慮すると対象負荷設備の負荷容量は計39.0kWとなる。また、放流ポンプの始動方式は、負荷の小さいスターデルタ始動方式ではなく負荷の大きい直入始動方式(注2) となっていた。
 以上により、適正な発電設備の必要容量を修正計算すると60.7kVAとなることから、本件発電設備(工事費相当額13,818,814円)は、発電設備の必要容量の設計が適切でなかったため、容量が不足していて、停電時において、中継ポンプ、放流ポンプ等を稼働させることができない状態となっており、これに係る交付金相当額10,364,110円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのにこれに対する検査が十分でなかったこと、沖縄県において、同町に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。

 スターデルタ始動方式  電動機を始動する際、始動運転時と定格運転時で電源回路を切り替えることにより、始動時の電流を抑える始動方式

 直入始動方式  電動機に直接電圧を加える始動方式