会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)農林水産本省共通費 |
(項)農林水産統計調査費 | |||
(組織)地方農政局 | (項)地方農政局 | ||
平成19年度は、 | |||
一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)農林水産本省 | |
(項)総合食料対策費 | |||
(項)農林漁業統計情報費 | |||
(組織)地方農政局 | (項)地方農政局 | ||
食料安定供給特別会計(業務勘定) | |||
(項)事務取扱費 | |||
部局等 | 農林水産本省、7地方農政局、北海道農政事務所、36地方農政事務所、沖縄総合事務局 | ||
契約の概要 | 官用車の車検及び定期点検整備を請負により実施するもの | ||
一般競争契約とすることなく少額随契としていた契約件数及び契約金額 | 3,980件 3億0479万円(平成19、20両年度) |
官用車に係る車検等請負契約の契約方式について
(平成22年3月12日付け 農林水産大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
記
貴省は、農林水産省設置法(平成11年法律第98号)に基づき、食料の安定供給の確保、農林水産業の発展等を図るため、食料の安定供給の確保に関する政策に関すること、農林水産業に係る国土の総合開発及び国土調査に関することなどの事務をつかさどっている。そして、地方農政局、北海道農政事務所、地方農政事務所等を設置して、これらの事務の一部を分掌させており、その事務の用に供するために農林水産本省(以下「本省」という。)及び地方農政局等において、国の所有に属する自動車(以下「官用車」という。)を多数保有して、管理、使用している。
自動車については、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)により、国土交通大臣の行う検査(以下「車検」という。)を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならないとされている。そして、自動車検査証の有効期間は、自動車の種別、用途等や新規検査又は継続検査の別に応じて1年、2年又は3年とされている。また、自動車の使用者は、自動車の種別、用途等に応じて、3月、6月又は1年ごとに自動車を点検して必要に応じ整備(以下「定期点検整備」という。)をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならないとされている。
このため、本省及び地方農政局等は、国土交通省地方運輸局長の指定を受けた自動車分解整備事業者(以下「指定自動車整備事業者」という。)と車検及び定期点検整備に係る請負契約(以下「車検等請負契約」という。)を締結し、それぞれが保有している官用車について車検及び定期点検整備を実施している。
本省及び地方農政局等が保有している官用車は、一般会計又は食料安定供給特別会計(以下「食料特別会計」という。)等の特別会計に属している。そして、官用車を管理する物品管理官等は、車検又は定期点検整備を行う時期が近づいた官用車について、物品管理法(昭和31年法律第113号)等に基づき、それぞれの組織の契約担当官等に対して車検等請負契約の締結に係る要求を行い、これを受けて契約担当官等は、会計法(昭和22年法律第35号)等に基づき指定自動車整備事業者と車検等請負契約を締結している。
国が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合には、会計法等により、原則として、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならないこととされている。ただし、工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が100万円を超えないものをする場合には随意契約によることができるなどとされている(以下、予定価格が少額であることを理由とした随意契約を「少額随契」という。)。
貴省は、行政の無駄を省き「簡素で効率的な政府」を実現するため行政効率化関係省庁連絡会議が平成16年6月に取りまとめた「行政効率化推進計画」の一環として、同月に「農林水産省行政効率化推進計画」を作成している。そして、今後の取組計画の一つとして、事務の省力化、契約の公正性の確保及びコストの削減を図る観点から、物品、役務等の一括調達の推進等を図るなどして、一般競争入札の導入・拡大に取り組んでいくこととしている。
本院は、合規性、経済性等の観点から、官用車に係る車検等請負契約の契約事務が会計法等に基づき適正に処理されているか、契約方式が契約の公正性、透明性及び競争性を確保できるものになっているかなどに着眼して、本省、7地方農政局(注1)
、北海道農政事務所、38地方農政事務所(注2)
及び沖縄総合事務局(以下、各都道府県に置かれているこれらの地方農政局から沖縄総合事務局までを総称して「農政局等」という。)が保有する官用車(19年度末保有台数2,983台、20年度末同2,793台)に係る19、20両年度の車検等請負契約計3,990件(契約金額計3億3051万余円(支払金額同額。自動車損害賠償責任保険料及び自動車重量税を除く。以下同じ。)、契約の対象となった官用車の延べ台数10,058台)を対象として検査した。
検査に当たっては、上記の本省及び47農政局等のうち本省及び10農政局等(注3)
において、契約書、見積書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、残りの37農政局等については、貴省から契約関係書類の写し等の提出を受けて検査した。
検査したところ、検査対象とした車検等請負契約計3,990件のうち、一般競争により契約を締結していた北陸農政局新潟、富山両農政事務所を除く本省及び45農政局等(注4)
において締結された車検等請負契約計3,980件(契約金額計3億0479万余円、契約の対象となった官用車延べ台数9,367台)は、すべて少額随契により締結されていた。
この少額随契となっていた車検等請負契約計3,980件についてみると、次の〔1〕 から〔4〕のような状況となっていた(複数の態様に該当している農政局等及び契約がある。)。
〔1〕 官用車を一般会計に属するものと食料特別会計に属するものとに区分して、その官用車が属する会計ごとに契約を締結しているもの
41農政局等(契約件数3,688件、契約金額2億6610万余円、官用車延べ台数8,026台)
〔2〕 官用車を使用する官署の所在地ごとに区分して、その官署の所在地ごとに契約を締結しているもの
38農政局等(同3,467件、2億4766万余円、7,545台)
〔3〕 官用車を車検又は定期点検整備の実施時期ごとに区分して、その実施時期ごとに契約を締結しているもの
本省及び44農政局等(同3,873件、2億9992万余円、9,232台)
〔4〕 官用車1台ごとに契約を締結しているもの
3農政局等(同565件、2010万余円、565台)
上記のとおり、本省及び45農政局等が車検等請負契約の対象となる官用車を選定するに当たり、属する会計ごと、使用する官署の所在地ごと及び車検等の実施時期ごとに区分するなどしていたことから、1件の契約の対象となる官用車の台数は比較的少数となり、その結果、車検等請負契約の予定価格が100万円を超えないものとなっていたと認められる。
しかし、車検及び定期点検整備は、いずれも道路運送車両法等で定められた共通の検査項目及び実施方法により年間を通じて定期的に行われるものであり、車検等に要する経費は保安確認検査料等及びこれらに伴って生ずる消耗物品に要する経費等に限られたものとなっていることから、各項目の単価を設定し、通年の契約とすることが可能であると認められる。
さらに、各都道府県には一般に指定自動車整備事業者が複数存在していることなどから、本省及び各農政局等の官用車を一括して契約することとして予定価格を作成し一般競争により契約を締結することが可能な状況になっていると認められる。
現に、一般競争により契約を締結していた前記の北陸農政局新潟、富山両農政事務所においては、属する会計や使用する官署の所在地等にかかわらず官用車を都道府県の単位に集約し、保安確認検査料等について単価を定めるなどして一括した予定価格を作成し、その結果予定価格が100万円を超えていることから、一般競争により車検等請負契約を締結している状況である。
上記のように、本省及び農政局等において、官用車に係る車検等請負契約について、契約の対象となる官用車を都道府県の単位にまとめるなどして一般競争契約とすることなく、属する会計ごと、使用する官署の所在地ごと、車検等の実施時期ごとに区分するなどして少額随契としている事態は契約の公正性、透明性及び競争性を確保する面から適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 本省及び農政局等において、官用車に係る車検等請負契約について、一般競争契約とすることにより、契約の公正性、透明性及び競争性を確保することの重要性に対する認識が十分でなかったこと
イ 貴省において、本省及び農政局等に対し、官用車に係る車検等請負契約について、一般競争契約とすることを検討し実施するよう十分な指導を行っていなかったこと
貴省は、今後とも、公共調達の効率化等を図るために、農林水産省行政効率化推進計画等に基づき、事務の省力化、契約の公正性の確保及びコストの削減を図る観点から、一般競争入札の一層の拡大に取り組んでいくことなどとしている。
ついては、貴省において、官用車に係る車検等請負契約について、契約の公正性、透明性及び競争性を確保するよう、契約の対象となる官用車を都道府県の単位にまとめるなどして、一般競争契約とする是正改善の処置を求める。
本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、車検等請負契約について、22年2月に発した事務連絡に基づいて契約の対象となる官用車を都道府県の単位にまとめるなどの検討を行い、22年度における契約から一般競争契約とする処置を講じていた。