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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

廃棄物等の輸出入に係る事前相談業務等の委託費の算定において、管理職の職位にあり実際に時間外手当が支給されていない者の所定労働時間外の従事時間数を人件費算定上の従事時間数に含めるなどして人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっていたもの


(687) 廃棄物等の輸出入に係る事前相談業務等の委託費の算定において、管理職の職位にあり実際に時間外手当が支給されていない者の所定労働時間外の従事時間数を人件費算定上の従事時間数に含めるなどして人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)経済産業本省 (項)環境経営・競争力強化費
  (平成19年度以前は、 (項)経済産業本省)
部局等 経済産業本省
契約名 環境負荷物質対策調査等4件の委託(平成18年度〜21年度)
契約の概要 有害廃棄物の不適正貿易の未然防止を図るため、事業者からの事前相談への応対業務等を行うもの
契約の相手方 財団法人日本環境衛生センター
契約 平成18年8月ほか 契約4件(随意契約3件、一般競争契約1件)
支払 平成19年4月ほか
支払額 148,552,989円 (平成18年度〜21年度)
過大となっていた支払額 7,451,021円 (平成18年度〜21年度)

1 契約の概要

(1) 委託契約の概要

 経済産業本省は、平成18年度から21年度までの間に、有害廃棄物の不適正貿易の未然防止を図るため、輸出入事業者等が輸出入しようとする貨物が「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(平成4年法律第108号)の規定による特定有害廃棄物等に該当するか否かについて、事前に当該輸出入事業者等から提出された書類等を基に回答するなどの同法に関連する事前相談への応対業務等に係る4件の委託契約(契約額計149,617,123円)を財団法人日本環境衛生センター(以下「財団」という。)と締結している。

(2) 委託契約における人件費の算定等

 経済産業本省は、委託費については、委託業務に従事する者の人件費、事業費、一般管理費等の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で委託業務の実施に要した経費の額により確定し、支払うこととしている。このうち、人件費については、委託業務に従事した者に対する給与等の支払実績を基に算出した1時間当たりの人件費単価に、実際に委託業務に従事した時間数を乗じて算出することを原則としている。ただし、業務を受託する際の1時間当たりの人件費単価を受託者が規程等に定めていて、この単価(以下「受託時間単価」という。)の内容等を妥当と判断する場合は受託時間単価の採用を認めることとなっており、その際、委託業務に従事する者が受託時間単価を適用できる者であるかについても確認することになっている。また、所定労働時間外の従事時間数は、当該従事した者が管理職の職位にあるなど実際に時間外手当を支給されていない場合には、委託業務の人件費算定上の従事時間数に含めないこととなっている。
 そして、経済産業本省は、委託契約に基づいて財団から提出された実績報告書に記載の委託業務の実施に要した経費を証ひょう、帳簿等により確認したとして、前記の4契約に係る委託費の支払額を計148,552,989円と確定し、同額を支払っている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、経済産業本省及び財団において、合規性等の観点から、委託業務の経理及び委託業務の実施に要したとする経費は適正かなどに着眼して、上記の4契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、上記4契約の実績報告書に記載された人件費の算定において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 財団は、本件委託業務に従事していた正職員(延べ10名)の人件費を、財団が定めた受託時間単価に、所定労働時間内及び所定労働時間外の従事実績を記録した業務日誌に基づき集計した時間数を乗ずるなどして算定していた。しかし、上記の正職員はいずれも管理職の職位にあり、実際に時間外手当が支給されていない者であるのに、財団は、これらの者の所定労働時間外の従事時間数(18年度から21年度までの計1,287時間)を人件費算定上の従事時間数に含めていた。

イ 財団は、専ら本件委託業務に従事させることとして雇用した嘱託職員等(延べ11名)の人件費を、正職員が委託業務に従事する場合と同様に、受託時間単価に従事時間数を乗ずるなどして算定していた。しかし、財団が定めた受託時間単価は、正職員への適用を前提に設定されたものであり、財団は、これら嘱託職員等の人件費についてはこれらの者に対する給与等の実支払額を基に算定すべきであったのに、受託時間単価を適用して算定していた。

 以上のことなどから、実績報告書に記載された正職員、嘱託職員等の人件費の額は、財団が本件委託業務において実際に要した経費に基づいて算定されたものとはなっていなかった。
 したがって、管理職の正職員の従事時間数について所定労働時間外の従事時間数を除き、また、嘱託職員等の人件費について給与等の実支払額を用いるなどして適正な委託費の支払額を算定すると計141,101,968円となり、前記の委託費の支払額計148,552,989円との差額計7,451,021円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、財団において、委託業務における人件費の算定方法に対する理解が不足していたこと、経済産業本省において、実績報告書の内容の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。