補助事業の実施に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していなかったもの
(3件 不当と認める国庫補助金 11,674,728円)
部局等 | 補助事業者 (所在地) |
間接補助事業者 (所在地)
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補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費)
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左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(698) | 経済産業本省 | 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(川崎市) | タマティーエルオー株式会社(東京都八王子市) 〈事業主体〉 |
大学発事業創出実用化研究開発 | 15〜17 | 492,647
(492,647) |
328,431 | 11,834 | 7,889 |
(699) | 中国経済産業局 | 山口県 〈事業主体〉 |
— | 工業用水道 | 17 | 43,923
(43,923) |
29,200 | 2,091 | 1,390 |
(700) | 四国経済産業局 | まちづくり四万十株式会社(高知県四万十市) 〈事業主体〉 |
— | 少子高齢化等対応中小商業活性化施設整備 | 18 | 100,572
(100,572) |
50,286 | 4,789 | 2,394 |
(698)—(700)の計 | 637,143
(637,143) |
407,917 | 18,715 | 11,674 |
これらの補助事業は、事業主体である民間事業者等が大学等の研究成果を企業等に技術移転することにより、その成果の事業化を促し、新たな産業や雇用を創出することなどを目的として、事業主体が実施する大学等の研究成果を活用した実用化研究開発に要する経費の一部を補助したものなどである。そして、これらの補助事業においては、経済産業本省から補助事業者を経由して又は経済産業局から直接事業主体に国庫補助金が交付されており、また、いずれもその補助対象事業費に補助事業で取得した物品、施設等に係る消費税額が含まれていた。
消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務を生ずるが、生産及び流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の物品、施設等を取得することなども課税仕入れに該当して、上記の仕組みにより確定申告の際に補助事業で取得した物品等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は当該物品等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
このため、補助事業の事業主体は、補助金の交付要綱等により、補助事業完了後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税額に係る補助金の額が確定したときには、その金額を速やかに補助事業者又は所轄の経済産業局長に報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととされている。
しかし、3事業主体は、平成15年度から18年度までの各年度の消費税の確定申告の際、本件補助事業に係る消費税額計18,715,293円を仕入税額控除していたのに、これに係る国庫補助金相当額計11,674,728円の報告及び返還を行っておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3事業主体において補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、中国経済産業局及び四国経済産業局において補助事業における消費税の取扱いについての指導及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。