(平成20年度決算検査報告 参照)
経済産業省資源エネルギー庁は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)にエネルギー使用合理化事業者支援補助金を交付しており、機構は、同補助金を省エネルギー効果が高く、費用対効果が優れていると認められる設備を導入しようとする者に交付している。このうち国土交通省の認定を要件とするタクシー事業者等に対するデジタル式GPS—AVMシステム(以下「D—GPSシステム」という。)の普及を図る補助事業について、導入した設備の省エネルギー率が算定できず事業効果が確認できなかったり、国土交通省と機構との間で補助事業の執行体制が確立していなかったり、機構において事業効果を確認、評価する体制が十分でなかったりなどしている事態が見受けられた。
したがって、資源エネルギー庁において、国土交通省及び機構と連携して、補助事業が、補助金の趣旨に沿って適切に執行されるよう、適切な省エネルギー率の算定方法等を検討したり、国土交通省と機構との間の執行体制の見直しを検討したり、機構に事業効果の確認、評価を行うなどのための体制を整備させたりする処置を講ずるよう、また、適切な算定方法によって算定した省エネルギー率が著しく低く、補助金の効果的な執行が困難と判断された場合には、補助事業の継続の是非について検討するよう、経済産業大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、経済産業省資源エネルギー庁及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、資源エネルギー庁は、本院指摘の趣旨に沿い、国土交通省及び機構と連携して、事業効果を定量的に確認するための省エネルギー率の算定方法等を検討するとともに、D—GPSシステムの導入計画の認定及び補助事業の採択等をする際の具体的な要件を統一し、これらを認定要領、公募要領等に明記させるなどの処置を22年3月までに講じていた。また、機構に対して、補助事業者であるタクシー事業者等から提出させる事業効果に係る報告の時期や書式等を公募要領等に明記させるとともに、事業効果の確認、評価を行った上で、必要に応じて指導、助言等を行う体制を整備させる処置を22年7月までに講じていた。
そして、資源エネルギー庁は、補助事業の継続の是非について、今後の実施状況を踏まえて引き続き検討を行っていくこととしている。