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  • 第3章 個別の検査結果|
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物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたもの


(707)—(731) 物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)海岸事業費等
    (組織)地方整備局 (項)地方整備局共通費
    (平成19年度以前は、 (項)地方整備局)
    (組織)北海道開発局 (項)北海道港湾空港整備事業工事諸費等
    (組織)地方運輸局 (項)地方運輸局共通費等
    (平成19年度以前は、 (項)地方運輸局)
    (組織)船員労働委員会 (項)船員労働委員会
    (組織)海上保安庁 (項)海上保安官署共通費等
    (平成19年度以前は、 (項)海上保安官署)
  社会資本整備事業特別会計(治水勘定)(平成19年度以前は、治水特別会計(治水勘定))
      (項)北海道河川整備事業費
  社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定)(平成19年度以前は、道路整備特別会計)
      (項)北海道地域連携道路事業費等
  社会資本整備事業特別会計(港湾勘定)(平成19年度以前は、港湾整備特別会計)
      (項)港湾事業費等
  社会資本整備事業特別会計(空港整備勘定)(平成19年度以前は、空港整備特別会計)
      (項)空港等維持運営費等
  社会資本整備事業特別会計(業務勘定)
      (項)業務取扱費
  自動車安全特別会計(自動車検査登録勘定)(平成19年度以前は、自動車検査登録特別会計)
      (項)業務取扱費
       
       
部局等 部局等3地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、2航空交通管制部、12 事務所、2 開発建設部、4 管区海上保安本部
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 物品の購入等に係る庁費等
不適正な会計経理により支払われた金額 203,362,860円(平成16年度〜20年度)

1 国の契約等の手続の概要

 国土交通省の地方整備局、北海道開発局、地方運輸局、運輸監理部、地方航空局、航空交通管制部、海上保安庁等及び内閣府沖縄総合事務局は、同省の事務の一部を分掌しており、それらの管下には当該所掌事務の一部を分掌させるため事務所等(以下、地方整備局から事務所等までを合わせて「地方支分部局等」という。)が設置されている。そして、地方支分部局等には、支出負担行為担当官等の会計機関が設置されており、一般会計、社会資本整備事業特別会計(平成19年度以前は、治水、道路整備、港湾整備、空港整備各特別会計等)及び自動車安全特別会計(19年度以前は自動車検査登録特別会計等)において毎年度多額の予算を執行している。このうち、業務で使用する備品、消耗品等の購入等(以下「物品の購入等」という。)に係る経費は、庁費等の予算科目から支払われている。
 これらに係る国の会計経理については、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等により、国の会計年度は毎年4月1日から翌年3月31日までと定められており、原則として、各会計年度における経費は当該年度の歳入をもって支弁しなければならないなどとされている。また、歳出の会計年度の所属については、物件の購入代価等で相手方の行為の完了があった後交付するものはその支払をなすべき日の属する会計年度に所属するものとされている。
 そして、国の会計機関が契約を締結した場合には、給付の完了の確認をするため必要な検査(以下「検収」という。)を行わなければならず、また、検収を完了した場合には、原則として、所定の検査調書を作成し、当該検査調書に基づかなければ支払をすることができないなどとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、国土交通本省及び48地方支分部局等(注1) において、16年度から20年度までの間に締結した物品の購入等の契約を対象として、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、25地方支分部局等(注2) において、16年度から20年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたものが、計676件、203,362,860円あった。これを態様別に示すと、次のとおりである(表参照)

ア 差替え

業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより庁費等を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させていたもの

3地方支分部局等、5件、支払額411,963円

イ 翌年度納入

物品が翌年度に納入されているのに、関係書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの

23地方支分部局等、212件、支払額138,455,464円

ウ 先払い

物品は年度内に納入されていたが、関係書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、実際に物品が納入されるよりも先に庁費等を支払っていたもの

4地方支分部局等、22件、支払額6,955,335円

エ 前年度納入

物品が前年度に納入されていたのに、関係書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの

8地方支分部局等、9件、支払額940,817円

オ 契約前納入

年度内において、契約手続を行わないまま物品を納入させていたのに、関係書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が契約締結後に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの

21地方支分部局等、428件、支払額56,599,281円

表 不適正な会計経理により支払われた庁費等の地方支分部局等別、態様別内訳

(単位:件、円)

  地方支分部局等名 指摘の態様 合計
年度 ア 差替え イ 翌年度納入 ウ 先払い エ 前年度納入 オ 契約前納入
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
(707) 東北地方整備局 平成
16〜20
    9 4,673,941         11 4,537,071 20 9,211,012
(708) 同地方整備局
秋田港湾事務所
16〜20     7 2,261,240             7 2,261,240
(709) 関東地方整備局
大宮国道事務所
16、17、19     1 431,655         9 2,379,426 10 2,811,081
(710) 同地方整備局
荒川下流河川事務所
16、18、19     1 9,745         2 1,004,666 3 1,014,411
(711) 同地方整備局
東京空港整備事務所
17、18     3 1,157,037         1 396,745 4 1,553,782
(712) 北陸地方整備局 18〜20     11 6,498,337             11 6,498,337
(713) 中部地方整備局
高山国道事務所
16〜18             1 89,433 15 844,373 16 933,806
(714) 四国地方整備局 16〜20     15 2,973,534         9 1,534,878 24 4,508,412
(715) 同地方整備局
松山港湾・空港整備事務所
16〜20     13 6,014,795         31 2,595,604 44 8,610,399
(716) 北海道開発局
札幌開発建設部
  国営滝野すずらん丘陵公園事務所
17〜19 2 152,468 5 803,541         1 22,312 8 978,321
(717) 同開発局
小樽開発建設部
16〜20 2 247,735 2 98,755         44 5,180,023 48 5,526,513
(718) 同開発局
稚内開発建設部
16〜20 1 11,760 24 9,191,266     1 168,000 23 2,284,029 49 11,655,055
(719) 近畿運輸局 17、19、20             1 7,350 13 2,671,313 14 2,678,663
(720) 神戸運輸監理部 17、18、20     4 1,763,306     1 54,101 2 70,200 7 1,887,607
(721) 東京航空局
新千歳空港事務所
16〜20     9 15,304,421 2 45,654 1 334,950 43 5,115,887 55 20,800,912
(722) 同航空局
釧路空港事務所
16〜20     14 4,954,491 3 246,501 1 13,944 103 10,453,067 121 15,668,003
(723) 同航空局
仙台空港事務所
16〜20     10 4,444,653 12 3,177,391 1 62,409 47 5,640,483 70 13,324,936
(724) 大阪航空局
大阪空港事務所
17〜20     9 11,851,629         1 917,700 10 12,769,329
(725) 札幌航空交通管制部 17、19、20     2 1,193,430         5 1,081,222 7 2,274,652
(726) 福岡航空交通管制部 17、20     1 6,825,000         2 866,250 3 7,691,250
(727) 第一管区海上保安本部 16〜20     13 17,642,469             13 17,642,469
(728) 第二管区海上保安本部 16〜20     3 3,549,136         6 1,777,511 9 5,326,647
(729) 第六管区海上保安本部 20     2 1,387,420             2 1,387,420
(730) 第八管区海上保安本部 16〜20     52 35,205,937 5 3,485,789 2 210,630 58 6,809,572 117 45,711,928
(731) 内閣府
沖縄総合事務局
国営沖縄記念公園事務所
16、17、19     2 219,726         2 416,949 4 636,675
  合計 5 411,963 212 138,455,464 22 6,955,335 9 940,817 428 56,599,281 676 203,362,860

 これらのアからオの事態は、25地方支分部局等において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど、不適正な会計経理を行って庁費等計203,362,860円を支払っていたもので、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2地方支分部局等において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することの認識が欠如していたこと、国土交通本省において、2地方支分部局等に対する会計事務手続の適正な執行についての指導監督等が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
48地方支分部局等  東北、関東、北陸、四国、九州各地方整備局、北海道開発局、北海道、関東、北陸信越、近畿各運輸局、神戸運輸監理部、大阪航空局、札幌、福岡両航空交通管制部、岩手河川国道、秋田港湾、大宮国道、荒川下流河川、東京空港整備、阿賀川河川、高山国道、浪速国道、姫路河川国道、日野川河川、岡山河川、福山河川国道、国営備北丘陵公園、松山港湾・空港整備、山国川河川、鹿児島国道、国営滝野すずらん丘陵公園各事務所、函館、小樽、稚内各開発建設部、新千歳、釧路、仙台、東京、大阪、福岡各空港事務所、海上保安庁本庁、第一、第二、第六、第七、第八各管区海上保安本部、南部国道、国営沖縄記念公園両事務所
(注2)
25地方支分部局等  東北、北陸、四国各地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、札幌、福岡両航空交通管制部、秋田港湾、大宮国道、荒川下流河川、東京空港整備、高山国道、松山港湾・空港整備、国営滝野すずらん丘陵公園各事務所、小樽、稚内両開発建設部、新千歳、釧路、仙台、大阪各空港事務所、第一、第二、第六、第八各管区海上保安本部、国営沖縄記念公園事務所