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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

公営住宅の家賃の低廉化に係る対象額の算定が適切でなかったもの


公営住宅の家賃の低廉化に係る対象額の算定が適切でなかったもの

(2件 不当と認める国庫補助金 11,892,600円)

  部局等
補助事業者等
事業主体
補助事業等 年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(737) 滋賀県 愛知郡
愛荘町
地域住宅交付金
(公的賃貸住宅家賃低廉化)
18〜20 86,794
(86,794)
39,057 20,291
(20,291)
9,130
(738) 山口県 山陽小野田市 地域住宅交付金
(公的賃貸住宅家賃低廉化)
19、20 26,549
(26,549)
11,947 6,137
(6,137)
2,761
(737)(738)の計 113,343
(113,343)
51,004 26,428
(26,428)
11,892

 これらの交付金事業は、愛荘町及び山陽小野田市が、それぞれ管理する新豊(しんとよみつ)満団地及び平原(ひらばら)団地について、その入居者の家賃負担軽減のために、事業費を計113,343,000円(交付金相当額計51,004,350円)として家賃の低廉化を行ったものである。
 この公営住宅の家賃の低廉化に係る事業費は、公営住宅等家賃対策補助金交付要領(平成8年建設省住備発第87号)等に基づき、公営住宅の団地、管理開始年度、入居者の収入の区分等の別に、次のとおり対象となる額(以下「対象額」という。)をそれぞれ算定し、これらの対象額を合計した額とすることとされている。

対象額=(近傍同種の住宅の家賃の額(近傍住宅家賃)-入居者負担基準額)×対象月数×対象戸数

 このうち、近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)は、建物部分の複成価格、敷地の時価等に基づいて算定することとされており、建物部分の複成価格については、公営住宅法(昭和26年法律第193号)等により、近傍同種の住宅の建設に要した費用の額(以下「戸当たり建設費」という。)に所定の率を乗じて得られる額から、経過年数に応じた減価相当額を控除して算出することとされている。そして、戸当たり建設費については、当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いるなどして算出することとされている。
 また、対象戸数は、基準日現在における入居戸数とされているが、このうち、公営住宅に引き続き3年以上入居し、一定の基準額を超える収入を有する者(以下「収入超過者」という。)の入居戸数は除くこととされている。
 1市1町は、前記のとおり、対象額を合計した事業費を計113,343,000円と算定していた。しかし、対象額の算定に当たり、愛荘町は、近傍住宅家賃を算定する際に、戸当たり建設費として当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いるべきところ、誤って、これより高額な建設工事の予定価格算定の基礎である設計金額を用いるなどしていた。また、山陽小野田市は、対象戸数に空家住宅の戸数及び収入超過者の入居戸数を含めるなどしていた。このため、いずれも対象額が過大に算定されていた。
 したがって、適正な対象額の合計を算定すると、計86,915,000円となることから、本件事業費は計26,428,000円が過大になっており、これに係る交付金相当額計11,892,600円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、1市1町において、対象額の算定に当たり、その基礎となる近傍住宅家賃の算定、対象戸数等についての理解が十分でなかったこと、また、滋賀、山口両県において、受理した交付金交付申請書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。