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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第13 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

工場等の移転に係る補償費の算定が適切でなかったも


(4) 補償費の算定が適切でなかったもの4件 不当と認める国庫補助金 11,742,783円

 工場等の移転に係る補償費の算定が適切でなかったもの

(2件 不当と認める国庫補助金 7,712,509円)

  部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度
事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(751) 青森県 青森県 地方道路交付金 19、20 92,395
(92,395)
52,150 7,036
(7,036)
3,971
(752) 新潟県 新潟県 地域連携推進 18、19 188,476
(188,476)
125,650 5,611
(5,611)
3,741
(751)(752)の計 280,871
(280,871)
177,801 12,647
(12,647)
7,712

 これらの補助事業は、2県が、道路用地の取得に当たり、支障となる鉄骨造り工場等(以下「本件工場等」という。)を移転させるなどのため、補償費計280,871,833円(国庫補助金計177,801,260円)で、本件工場等の所有者に建物等の移転に伴う損失補償を行ったものである。
 2県は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に準じて2県がそれぞれ制定した損失補償基準等に基づいて行うこととしている。
 損失補償基準等によれば、残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築することが合理的と認められる場合、建物移転料は、従前の建物の推定再建築費に建物の耐用年数や経過年数等から定まる再築補償率を乗ずるなどして算出することとされている。このうち、鉄骨造り建物の推定再建築費は、各地区の用地対策連絡会等が監修した「非木造建物〔I〕調査積算要領」、「非木造建物調査積算要領の解説」等(以下、これらを「要領等」という。)により、建物の延床面積に統計数量値(注) を乗ずるなどして求めた建物のく体の鉄骨重量に、鋼材の単価を乗ずるなどしてく体の工事費を算出するなどして算出することとされている。
 そして、上記の算出において、く体の鉄骨重量及び耐用年数は、柱、梁(はり)等の建物の主要な構造部分に使用されている鉄骨の肉厚の区分に応じて算出することとされ、その区分には、「肉厚9mm以上のもの」、「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」及び「肉厚4mm以下のもの」がある。また、鉄骨のうちH形鋼の構成部位にはウェブとフランジがあり、それぞれの肉厚は異なっている(参考図参照)。
 2県は、補償費のうち建物移転料の算出に当たり、本件工場等の主要な構造部分に使用されているH形鋼のフランジの肉厚(9mm及び11mm)により区分を「肉厚9mm以上のもの」と決定し、これに応じてく体の鉄骨重量及び耐用年数を決定するなどして、建物移転料を計104,860,321円と算出していた。
 しかし、要領等によれば、鉄骨の肉厚区分は、フランジの肉厚ではなく、ウェブの肉厚により決定することとされていることから、本件工場等については、ウェブの肉厚(6mm及び7mm)により区分を「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」と決定すべきであった。
 したがって、本件工場等について、上記の区分により適正な建物移転料を算出すると計92,377,485円となり、これにより本件工場等の移転等に係る適正な補償費を算定すると計268,224,000円となることから、前記補償費計280,871,833円との差額計12,647,833円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額計7,712,509円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2県において、委託した補償費算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。

 統計数量値  多数の鉄骨造り建物の補償事例等から統計処理して得られた延床面積1m 当たりの鉄骨重量

(参考図)

H形鋼の構成部位

H形鋼の構成部位