部局等 |
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補助事業等 | 年度 |
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左に対する国庫補助金等交付額 |
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不当と認める国庫補助金等相当額 | |||||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||||||||
(758) | 東京都 | 八丈島八丈町 | 地域住宅交付 (公営住宅等整備) |
20 | 40,488 (37,314) |
16,791 | 33,429 (30,808) |
13,863 |
この補助事業は、八丈町が、樫立地内において、町営東六里(とうろくざと)住宅1号棟及び2号棟(ともに木造平屋建て1戸)の建設工事を実施したものである。
同町は、これらの住宅について、柱、土台、筋かいなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により建設することとし、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる水平力に抵抗するため、柱と柱との間に筋かいを設置した壁を耐力壁として、1号棟では長辺方向、短辺方向ともに6か所、2号棟では長辺方向に8か所、短辺方向に7か所それぞれ配置することとしていた。そして、耐力壁は、建築基準法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)において、筋かいの種類等別に定められている引寄金物等の金物や木栓を用いて、柱と土台、基礎コンクリート等とを接合することとされている(参考図参照)。
同町は、上記のように耐力壁を配置すれば、2棟それぞれの長辺方向及び短辺方向について、設計計算上の耐力壁の長さが、水平力に対して必要な耐力壁の長さをそれぞれ上回ることなどから安全であるとして設計し、施工することとしていた。
しかし、請負人は、1号棟及び2号棟について、本件工事の設計計算上、柱と土台、基礎コンクリート等とを接合するために引寄金物等が必要とされている箇所について金物を全く取り付けておらず、柱と土台等とを木栓で接合しているだけであった。さらに、2号棟については、筋かいを設置することとした壁のうち2か所に筋かいを設置していないなどしていた。このため、設計計算上木栓で接合すれば足りる2か所(1号棟の長辺方向1か所、2号棟の短辺方向1か所)を除いた壁は、柱と土台、基礎コンクリート等との接合方法等が適切でなかったため耐力壁とは認められないものとなっていた。
そこで、実際に施工された壁について、設計計算上の耐力壁の長さを改めて算出すると、2棟それぞれの長辺方向及び短辺方向の長さは、1号棟では1.82m及び0m、2号棟では0m及び3.64mとなり、水平力に対して必要な長辺方向及び短辺方向の耐力壁の長さ、1号棟8.22m及び15.67m、2号棟8.31m及び15.67mをそれぞれ大幅に下回っていた。
したがって、本件公営住宅2棟(工事費相当額計33,429,204円、交付対象工事費計30,808,000円)は、施工が設計と著しく相違していたため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計13,863,600円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人が設計図書、法令等についての理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する同町の監督及び検査が十分でなかったことによると認められる。
(参考図)