補助事業により取得した物件について、残存価額に係る補助金相当額を返還していなかったもの
(8) 残存物件に係る補助金を返還していなかったもの
1件 不当と認める国庫補助金 12,325,623円
補助事業により取得した物件について、残存価額に係る補助金相当額を返還していなかったもの
(1件 不当と認める国庫補助金 12,325,623円)
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部局等 |
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補助事業等 |
年度 |
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左に対する国庫補助金等交付額 |
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 |
千円 |
千円 |
千円 |
(759)
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栃木県
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栃木県
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火山砂防
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14〜17 |
1,469,464 (1,469,464) |
808,205 |
22,410 (22,410) |
12,325 |
この補助事業は、栃木県が、日光市中宮祠(ちゅうぐうし)地内において、華厳の滝周辺の急崖(がい)部の崩壊を防止するために、平成14年度から17年度までの間に、立坑工、ロックアンカー工、仮設工等を工事費1,469,464,500円(国庫補助金808,205,475円)で実施したものである。
このうち、仮設工についてみると、当初契約では、本件工事の施工に必要な仮設物のうち、給水設備、昇降設備、電力設備等の仮設備について、損料を施工業者に支払って使用し、工事完了時には撤去することとしていた。
しかし、15年7月に施工箇所の上部斜面の一部が崩壊したことから、同県は、崩壊箇所周辺の工事を取りやめ、当初18年3月までとしていた工期を17年7月までに短縮するなど契約を変更した。その際、仮設備については、撤去せずに本件工事とは別の工事として実施する予定の崩壊防止工事(以下「後工事」という。)において継続使用することとし、本件工事の一部として、工期末に附属設備と合わせて計66,925,496円で取得した(以下、仮設備及び附属設備を合わせて「仮設備等」という。)。
その後、同県は、17年12月から20年3月までの間に補助事業として実施した後工事において仮設備等を継続使用し、工事完了時に他の不要物品と共にスクラップとして売却処分していた。
補助事業等により取得した仮設備等の物件については、「補助事業等における残存物件の取扱いについて」(昭和34年建設省発会第74号建設事務次官通知)等において、物件を同種の他の補助事業において継続使用し、以後継続使用しない場合に、当該継続使用に係る補助事業完了の際に物件が残存するときは、その時点における当該物件の残存価額(取得価額に残存価額率を乗じて得た額等)に当該物件を取得した補助事業に係る国の補助率又は負担率を乗じて得た額を返還すべきものとされている。
しかし、同県は、本件工事により取得した仮設備等について、後工事において継続使用し、その完了時に残存しているにもかかわらず、残存価額22,410,242円に係る国庫補助金相当額12,325,623円を返還しておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、補助事業における残存物件の適正な取扱いについての認識が十分でなかったことなどによると認められる。