鋼矢板工費等の積算が過大となっていたもの
(10) 工事費の積算が過大となっていたもの1件 不当と認める国庫補助金 1,020,000円
鋼矢板工費等の積算が過大となっていたもの
(1件 不当と認める国庫補助金 1,020,000円)
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部局等 |
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補助事業等 |
年度 |
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左に対する国庫補助金等交付額 |
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 |
千円 |
千円 |
千円 |
(761)
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秋田県
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大館市
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地域活力基盤創造交付金
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21 |
63,843 (63,843) |
38,305 |
1,700 (1,700) |
1,020 |
この交付金事業は、大館市が、比内町地内において、一級河川引欠川に橋りょうを新設するため、橋脚工、仮設工等を実施したものである。このうち仮設工は、河道内に築島(注1)
を設置して、橋脚を築造する際の土留めなどのため、長さ13.5mの鋼矢板94枚を打ち込んで、埋戻し後に引き抜くなどするものである。
そして、同市は、本件工事の工事費の積算に当たり、鋼矢板の打込み及び引抜きの施工方法を台船上にクレーンを設置して施工する水上施工とし、また、鋼矢板の打込みにおいて鋼矢板1枚当たり継施工(注2)
を2か所行うこととして鋼矢板工費を積算しており、鋼矢板の打込み及び引抜きに要する費用を算出し、これに鋼矢板の賃料を加えて鋼矢板1枚当たりの施工単価を94,338円と算定し、これに鋼矢板の施工枚数94を乗じて、鋼矢板工費を8,867,772円と積算していた。
しかし、本件鋼矢板の打込み及び引抜きは、築島を設置することとしていることから、築島上にクレーンを設置して施工する陸上施工によることが可能であり、同市は、設計図面においても陸上施工によることとしていた。また、施工箇所に障害物がないことなどから、継施工を行わずに鋼矢板を打ち込むことが可能であり、同市は、設計図面においても継施工を行うこととはしていなかった。
したがって、本件鋼矢板工費について、施工方法を陸上施工とし、また、継施工を行わないこととして適正な鋼矢板1枚当たりの施工単価及び鋼矢板工費を算定すると、積算過小となっていた鋼矢板の修理費等を考慮しても、それぞれ35,991円及び3,383,154円となって鋼矢板工費の積算額は5,484,618円が過大となることから、積算過小となっていた薬液注入工費等計2,369,844円等を考慮ても、工事費総額は62,089,059円となり、本件工事費はこれに比べて約170万円割高となっていて、これに係る交付金相当額1,020,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、鋼矢板工費の積算の際の設計図面等の確認及び工事費の積算に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
築島 土のう等で締め切った内部を土砂で埋め立てて築いた作業用広場はしげた
継施工 施工箇所の上空に橋桁等の障害物があるなどのため、複数の短い鋼矢板等を継いで施工する必要がある場合に、先行する鋼矢板等を打ち込んだ後、これに接続する鋼矢板等を建て込んだ状態で継手部を溶接するなどの方法により鋼矢板等を継ぐことをいう。