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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第13 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

官用車に係る車検等請負契約に当たり、契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受するため、契約の対象となる官用車を河川国道事務所等の単位にまとめるなどして一般競争契約とするよう改善させたもの


(2) 官用車に係る車検等請負契約に当たり、契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受するため、契約の対象となる官用車を河川国道事務所等の単位にまとめるなどして一般競争契約とするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)国土交通本省共通費
  社会資本整備事業特別会計  
    (治水勘定) (項)河川整備事業費 等
    (道路整備勘定) (項)道路交通安全対策事業費 等
    (業務勘定) (項)業務取扱費
部局等 国土交通本省、5河川国道事務所等、沖縄総合事務局南部国道事務所
契約の概要 官用車の車検及び定期点検整備を請負により実施するもの
一般競争契約とすることなく少額随契としていた契約件数及び契約金額 357件 5761万円(平成20、21両年度)

1 車検等請負契約の概要

(1)  車検及び定期点検整備の概要

 国土交通省は、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)に基づき、地方整備局、北海道開発局、地方整備局の事務所等(出張所を含む。以下、これらを総称して「地方整備局等」という。)を設置している。そして、国土交通本省(以下「本省」という。)及び各地方整備局等は、その事務の用に供するため国の所有に属する自動車(以下「官用車」という。)を多数保有して、管理、使用している。
 自動車については、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)により、国土交通大臣の行う検査(以下「車検」という。)を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならないとされている。そして、自動車検査証の有効期間は、自動車の種別、用途等や新規検査又は継続検査の別に応じて1年、2年又は3年とされている。また、自動車の使用者は、自動車の種別等に応じて、3月、6月又は1年ごとに自動車を点検して必要に応じ整備(以下「定期点検整備」という。)をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならないとされている。
 このため、本省及び地方整備局等は、国土交通省地方運輸局長の指定を受けた自動車分解整備事業者(以下「指定自動車整備事業者」という。)等と車検及び定期点検整備に係る請負契約(以下「車検等請負契約」という。)を締結し、それぞれが保有している官用車について車検及び定期点検整備を実施している。

(2) 車検等請負契約の締結

 本省及び地方整備局等が保有している官用車は、一般会計又は社会資本整備事業特別会計等の特別会計に属している。そして、官用車を管理する本省及び各地方整備局等の物品管理官等は、車検又は定期点検整備を行う時期が近づいた官用車について、物品管理法(昭和31年法律第113号)等に基づき、それぞれ契約担当官等に対して車検等請負契約の締結に係る要求を行い、これを受けて契約担当官等は、会計法(昭和22年法律第35号)等に基づき指定自動車整備事業者等と車検等請負契約を締結している。
 国が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合には、会計法等により、原則として、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならないこととされている。ただし、工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が100万円を超えないものをする場合には随意契約によることができるなどとされている(以下、予定価格が少額であることを理由とした随意契約を「少額随契」という。)。

(3) 行政効率化への取組

 国土交通省は、行政の無駄を省き「簡素で効率的な政府」を実現するため行政効率化関係省庁連絡会議が平成16年6月に取りまとめた「行政効率化推進計画」の一環として、同月に「国土交通省行政効率化推進計画」を作成している。そして、今後の取組計画の一つとして、契約の公正性の確保及びコストの縮減を図るなどの観点から、物品、役務等の一括調達の推進等を図るなどして、一般競争入札の導入・拡大に取り組んでいくこととしている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、合規性、経済性等の観点から、官用車に係る車検等請負契約の契約事務が会計法等に基づき適正に処理されているか、契約方式が契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受できるものになっているかなどに着眼して、本省、北海道開発局の3開発建設部(注1) 、8地方整備局の27河川国道事務所等(注2) 及び沖縄総合事務局南部国道事務所(以下、北海道開発局開発建設部、河川国道事務所等及び沖縄総合事務局管内の国道事務所を総称して「河川国道事務所等」という。)が締結した20、21両年度の車検等請負契約計698件、契約金額計20億5618万余円(支払金額同額。自動車損害賠償責任保険料及び自動車重量税を除く。以下同じ。契約の対象となった官用車の延べ台数6,041台)を対象として検査した。
 検査に当たっては、上記の本省及び31河川国道事務所等において、支出決定決議書、請求書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、検査対象とした車検等請負契約計698件のうち、21年度中に一般競争によることとして契約を締結するなどしていた25河川国道事務所等を除く本省及び6河川国道事務所等(注3) において締結された車検等請負契約計357件(契約金額計5761万余円、契約の対象となった官用車延べ台数731台)は、すべて少額随契により締結されていた。
 この少額随契となっていた車検等請負契約計357件についてみたところ、本省及び上記の6河川国道事務所等は、車検等請負契約の対象となる官用車を選定するに当たり、官用車を使用する管内の出張所等の所在地ごと、車検等の実施時期ごと及び一般車両又は特殊車両ごとに区分していたことから、1件の契約の対象となる官用車の台数は比較的少数となり、その結果、車検等請負契約の予定価格が100万円を超えないものとなっていたと認められた。
 しかし、車検及び定期点検整備は、いずれも道路運送車両法等で定められた共通の検査項目及び実施方法により年間を通じて定期的に行われるものであり、車検等に要する経費は保安確認検査料等及びこれらに伴って生ずる消耗物品に要する経費等に限られたものとなっていることから、検査項目ごとに単価を設定するなどして一括した予定価格を作成し、通年の契約とすることが可能であると認められた。
 さらに、各都道府県には一般に指定自動車整備事業者等が多数存在していることなどから、本省及び各河川国道事務所等のそれぞれにおいて官用車を一括して契約することとして予定価格を作成し、一般競争により契約を締結することが可能な状況になっていると認められた。
 現に、一般競争により契約を締結していた前記の25河川国道事務所等においては、使用する出張所等の所在地等にかかわらず官用車を河川国道事務所等の単位に集約し、保安確認検査料等について単価を定めるなどして一括した予定価格を作成し、その結果予定価格が100万円を超えていることから、一般競争により車検等請負契約を締結している状況であった。
 したがって、上記のように、本省及び6河川国道事務所等において、官用車に係る車検等請負契約について、契約の対象となる官用車をそれぞれ本省及び河川国道事務所等の単位にまとめるなどして一般競争契約とすることなく、官用車を使用する出張所等の所在地ごと、車検等の実施時期ごと及び一般車両又は特殊車両ごとに区分して少額随契としている事態は契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受する面から適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、国土交通省において、本省及び河川国道事務所等に対し、官用車に係る車検等請負契約について、一般競争契約とすることにより、契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受できるように、十分な指導を行っていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、本省は、22年8月に関係部局に通知を発し、官用車に係る車検等請負契約に当たっては、契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受できるように、契約の対象となる官用車を河川国道事務所等の単位にまとめるなどして、一般競争契約とするよう周知、指導するなどの処置を講じた。

(注1)
 3開発建設部  釧路、函館、留萌各開発建設部
(注2)
 27河川国道事務所等  岩手河川国道、湯沢河川国道、酒田河川国道、高崎河川国道、大宮国道、北首都国道、首都国道、甲府河川国道、長野国道、高田河川国道、沼津河川国道、岐阜国道、高山国道、浪速国道、紀南河川国道、和歌山河川国道、姫路河川国道、鳥取河川国道、倉吉河川国道、岡山国道、福山河川国道、香川河川国道、中村河川国道、熊本河川国道、八代河川国道、大分河川国道、鹿児島国道各事務所
(注3)
 6河川国道事務所等  香川河川国道、中村河川国道、熊本河川国道、大分河川国道、鹿児島国道各事務所、沖縄総合事務局南部国道事務所