(平成20年度決算検査報告 参照)
国土交通省又は地方公共団体が実施している工事のうち、競争入札により契約した前工事に引き続き随意契約により行う後工事の予定価格の算定において、前工事の競争の利益を反映させる方法として、設計金額に前工事の落札率を乗ずる落札率方式や、前工事に含まれる工種について単価等の合意を行って後工事の積算に使用する単価合意方式がある。しかし、いずれの方法も採っていない後工事について、落札率が前工事より高率となっている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、前工事のみならず、後工事も含めた工事全体として競争による経済性等が図られるよう、後工事の予定価格の算定に当たって、落札率方式、単価合意方式等の競争の利益を反映できる方法を検討して、その方法や運用の在り方を積算基準等において定めたり、国庫補助事業を実施する地方公共団体に対して、工事の内容や規模、実施体制等の実情に応じて落札率方式、単価合意方式等の競争の利益を反映できる方法を採用して運用できるように助言したりするよう、国土交通大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、随意契約により後工事を前工事と同じ請負人に発注する場合には、後工事の予定価格の算定に当たって競争の利益を反映させる方法として、総価契約単価合意方式(注)
によることとして、22年3月にその実施要領を制定し、同年4月以降に発注する工事から適用するとともに、地方公共団体に対して、同年3月及び4月に、会議等を通じて、上記方式の内容や趣旨を周知し、各地方公共団体が工事の内容や規模、実施体制等の実情に応じて競争の利益を反映できる方法を採用して運用できるよう助言するなどの処置を講じていた。