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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第15 防衛省|
  • 不当事項|
  • 予算経理

物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたもの


(825)—(831) 物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を 行って庁費等を支払っていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本省 (項)防衛本省共通費
(平成19年度は、 (項)防衛本省)
(項)艦船整備費
(項)施設整備費
(項)施設整備等附帯事務費
(項)人材確保育成費
(平成19年度は、 (項)防衛本省)
(項)防衛施設安定運用関連諸費
(平成19年度は、 (項)施設運営等関連諸費)
(組織)地方防衛局 (項)地方防衛局
部局等 2大学校、5防衛局等
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 物品の購入等に係る庁費等
不適正な会計経理により支払われた金額 214,357,445円(平成19年度〜21年度)

1 国の契約等の手続の概要

 防衛省は、施設等機関として防衛大学校及び防衛医科大学校(以下「2大学校」という。)を、また、地方支分部局として地方防衛局等(以下「防衛局等」という。)をそれぞれ設置している。そして、これらの2大学校及び防衛局等に支出負担行為担当官等の会計機関を設置して、その所掌する業務の実施に必要な物品の購入等を多数行い、その経費を庁費や営舎費等の予算科目から支出している。
 これらに係る国の会計については、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等により、国の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までと定められており、原則として、各会計年度における経費は当該年度の歳入をもって支弁しなければならないなどとされている。また、歳出の会計年度所属区分が定められており、物件の購入代価等で相手方の行為の完了があった後交付するものはその支払をなすべき日の属する年度とされている。
 そして、国の会計機関が契約を締結した場合には、原則として、給付の完了を確認するため必要な検査(以下「検収」という。)を行い、所定の検査調書を作成しなければならず、この検査調書に基づかなければ当該契約の代金を支払うことができないなどとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、2大学校及び16防衛局等(注1) において、平成19年度から21年度までの間に締結した物品の購入等の契約を対象として、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、2大学校及び5防衛局等(注2) において、19年度から21年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたものが、計177件、214,357,445円あった。
 これを態様別に示すと次のとおりである(表参照)

ア 差替え

業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより営舎費を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させていたもの

1大学校、1件、支払額204,750円

イ 翌年度納入

物品等が翌年度になって納入されているのに、関係書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの

2大学校、5防衛局等、151件、支払額208,723,120円

ウ 契約前納入

年度内において、契約手続を行わないまま物品を納入させていたのに、関係書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が契約締結後に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの

2大学校、2防衛局等、25件、支払額5,429,575円

  大学校及び防衛局等名 年度 ア 差替え イ 翌年度納入 ウ 契約前納入
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額

(825)

防衛大学校
平成
19,20



86

96,186,009

4

897,729

90

97,083,738
(826) 防衛医科大学校 19,20 1 204,750 48 17,573,466 2 96,726 51 17,874,942
(827) 東北防衛局 19,20 4 2,007,180 4 2,007,180
(828) 北関東防衛局 19,20 5 45,450,882 5 45,450,882
(829) 南関東防衛局 19〜21 4 42,035,985 6 1,828,302 10 43,864,287
(830) 東海防衛支局 19,20 3 5,391,804 3 5,391,804
(831) 三沢防衛事務所 19〜21 1 77,794 13 2,606,818 14 2,684,612
  1 204,750 151 208,723,120 25 5,429,575 177 214,357,445

 これらのアからウの事態は、2大学校及び5防衛局等において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど、不適正な会計経理を行って庁費等計214,357,445円を支払っていたもので、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2大学校及び5防衛局等において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することの認識が欠如していたこと、防衛本省において、2大学校及び5防衛局等に対する会計事務処理手続の適正な執行についての指導監督等が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
 16防衛局等  北海道、東北、北関東、南関東、近畿中部、中国四国、九州、沖縄各防衛局、帯広、東海、熊本各防衛支局、千歳、三沢、横須賀、浜松、岩国各防衛事務所
(注2)
 5防衛局等  東北、北関東、南関東各防衛局、東海防衛支局及び三沢防衛事務所