所管、会計名及び科目 | 防衛省所管 | 一般会計 | (組織)防衛本省 | (項)防衛本省共通費 |
(組織)地方防衛局 | (項)地方防衛局 | |||
平成19年度は、 | ||||
防衛省所管 | 一般会計 | (組織)防衛本省 (組織)防衛施設庁 |
(項)防衛本省 (項)防衛施設庁 |
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平成18年度は、 | ||||
防衛省所管 | 一般会計 | (組織)防衛本省 (組織)防衛施設庁 |
(項)防衛本庁 (項)防衛施設庁 |
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平成17年度は、 | ||||
内閣府所管 | 一般会計 | (組織)防衛本庁 (組織)防衛施設庁 |
(項)防衛本庁 (項)防衛施設庁 |
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部局等 | 内部部局(交付金事務の所掌部局) 12地方防衛局等(交付部局) |
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交付の根拠 | 国有資産等所在市町村交付金法(昭和31年法律第82号) | |||
平成19年9月30日以前は、 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律 |
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国有資産等所在市町村交付金の概要 | 国が所有する固定資産で国以外の者が使用するものについて、固定資産税に代わるものとして、当該固定資産が所在する市町村に交付するもの | |||
国有資産等所在市町村交付金の交付額 | 87億7541万余円(平成17年度〜21年度) | |||
貸付財産に係る交付金の額の算定を誤っていたもの | 過大となっていた 交付金の額 |
計1,680件 6556万円 (平成17年度〜21年度) |
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過小となっていた 交付金の額 |
計3,835件 6億9217万円 (平成17年度〜21年度) |
防衛省は、国有資産等所在市町村交付金法(昭和31年法律第82号。平成19年9月30日までは国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律。以下「交付金法」という。)に基づき、国が所有する固定資産で国以外の者が使用している土地、建物等(以下「貸付財産」という。)について、原則として国有資産等所在市町村交付金(以下「交付金」という。)を、貸付財産が所在する市町村(以下「所在市町村」という。)に対して毎年度交付している。交付金は、国の所有する固定資産については、固定資産税が非課税となっていることから、これに代わるものとして、所在市町村に対して交付されるものである。防衛省は、17年度から21年度までの間に、延べ1,304市町村に対して、計87億7541万余円の交付金を交付している。
交付金の額は、原則として、交付年度の前々年度の末日の国有財産台帳価格を交付金算定標準額として集計し、この合計額に100分の1.4を乗じて得た額とされている。
防衛省は、交付金を交付するに当たり、次のような事務処理を行っている。
〔1〕 地方防衛(支)局(19年8月31日以前は防衛施設(支)局。長崎防衛支局を除く。以下同じ。)等(以下「地方防衛局等」という。)は、職員に貸与する宿舎の供用事務を担当している供用事務担当官等に対して、交付金の算定等に係る資料(以下「交付金の算定等資料」という。)の作成を依頼する。また、所在市町村に対して、近傍類似地の固定資産の価格等について調査を依頼する。
〔2〕 地方防衛局等は、上記〔1〕 による交付金の算定等資料等の内容を踏まえ、交付金の算定対象となる貸付財産を確定させ、固定資産通知書等を所在市町村に対して送付する。
〔3〕 所在市町村は、この通知書等を基に交付金の額を算定し、地方防衛局等に請求する。そして、地方防衛局等は、この請求に基づいて交付金を交付する。
前記のとおり、防衛省は、所在市町村に対し毎年度多額の交付金を交付しており、今後とも引き続き多額の交付金を交付することが見込まれる。
そこで、本院は、合規性等の観点から、交付金の算定対象となる固定資産の価格(以下「対象固定資産価格」という。)の算定は適切に行われているかなどに着眼して、内部部局及び12地方防衛局等(注1)
において、前記の交付額計87億7541万余円を対象に、国有財産台帳等を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
防衛省が職員に貸与する宿舎には、無料宿舎と有料宿舎がある。無料宿舎は、本来の職務に伴って、通常の勤務時間外において、国民の生命、財産を保護するための非常勤務などに従事するため、その勤務する官署等の構内又はこれらに近接する場所に居住する必要がある者などに無料で貸与する宿舎であり、交付金の交付対象とはならない。
そして、有料宿舎と無料宿舎が混在している集合住宅の場合は、それぞれの専用面積比で案分計算することにより、有料宿舎部分の対象固定資産価格を算定することとなっている。
しかし、8地方防衛局等(注2)
は、交付金の算定等資料の内容が十分でなかったなどのため、無料宿舎部分を交付金の算定対象としたり、専用面積比ではなく戸数比によって案分計算したりしていた。このため、交付金が過大となっているものが計202件、2541万余円、過小となっているものが計47件、627万余円あった。工作物に係る交付金の額の算定について
ア 特別借受宿舎に附帯して設置した工作物に係る交付金について
防衛省は、国が所有する土地を国家公務員共済組合連合会(以下「連合会」という。)に無償で使用させた上で、連合会が建設した建物を借り受けて宿舎(以下、この宿舎を「特別借受宿舎」という。)として使用している。特別借受宿舎については、連合会に対して固定資産税が課せられており、交付金の算定対象とはならない。しかし、防衛省が、国費により、特別借受宿舎に附帯して別途設置した門、電気設備等の工作物については、国有財産として管理されることとなることから、交付金の算定対象に含まれることとなる。
しかし、6地方防衛局等(注3)
は、上記工作物の全部又は一部について交付金の算定対象に含めていないなどしていた。このため、交付金が過小となっているものが計494件、8485万余円あった。
イ 国が所有する宿舎における工作物に係る交付金について
国が所有する宿舎のうち有料宿舎に関して、宿舎に係る家屋及びその家屋の用に供する土地については、それらの国有財産台帳価格の5分の2の額等をもって交付金算定標準額とする特例が設けられている。そして、当該家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体となって家屋の効用を高める工作物は当該家屋に含まれ、その特例の適用を受けることとなるが、これらに該当しない門、囲障等については特例の適用はなく、国有財産台帳価格をもって交付金算定標準額とされている。
しかし、12地方防衛局等は、特例の適用を受けない工作物の全部又は一部についてもこの特例を適用するなどしていた。このため、交付金が過小となっているものが計3,251件、5億9360万余円あった。
貸付財産には、各自衛隊の基地等において、売店、現金自動預払機等を設置するために使用を許可している土地、建物等がある。そして、これらのうち福利厚生の用に供するものについては、交付金の算定対象から除外することとされている。
しかし、11地方防衛局等(注4)
は、これらの福利厚生の用に供する貸付財産の全部又は一部を交付金の算定対象に含めるなどしていた。このため、交付金が過大となっているものが計1,267件、1512万余円あった。
このほかに、対象固定資産価格の算定に当たり計算誤りをするなどしていたものを合わせると、12地方防衛局等において17年度から21年度までの5か年度で、交付金が過大となっているものが計1,680件、6556万余円、過小となっているものが計3,835件、6億9217万余円あった。このように、対象固定資産価格の算定が適切に行われておらず、これにより交付金の額が過大又は過小となっているものが多数生じている事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、防衛省において、次のことなどによると認められた。
ア 対象固定資産価格等の算定方法や交付金法等の解釈等について地方防衛局等に十分な周知をしていないこと
イ 交付金の算定等に必要な事項が記載されることとなっていないなど、交付金の算定等資料の内容が十分ではないこと
ウ 交付金の事務処理について地方防衛局等との連絡調整の体制を整備していないこと
上記についての本院の指摘に基づき、防衛省は、22年8月に各地方防衛局等へ事務連絡を発するなどして、次のような処置を講じた。
ア 対象固定資産価格等の算定方法や交付金法等の解釈等を明確にして、地方防衛局等に周知した。
イ 交付金の算定等に必要な事項を追加するなどして、交付金の算定等資料の内容を見直した。
ウ 交付金の事務処理について地方防衛局等との連絡調整の体制を整備した。
(注1) | 12地方防衛局等 北海道、東北、北関東、南関東、近畿中部、中国四国、九州、沖縄各防衛局及び帯広、東海、熊本各防衛支局、本省経理装備局会計課
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(注2) | 8地方防衛局等 東北、北関東、近畿中部、中国四国、九州、沖縄各防衛局及び東海、熊本両防衛支局
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(注3) | 6地方防衛局等 北関東、南関東、近畿中部、中国四国、九州各防衛局及び熊本防衛支局
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(注4) | 11地方防衛局等 北海道、東北、北関東、南関東、近畿中部、中国四国、九州、沖縄各防衛局及び帯広、東海、熊本各防衛支局
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