成田国際空港株式会社(以下「成田会社」という。)は、連結子会社等管理規程(平成19年規程第17号)を定め、子会社等の経営の自主性を尊重するとともに緊密な連携と協力の下、成田会社と子会社等が構成する企業グループの収益向上を図ることとしている。そして、子会社等各社の経理規程等の重要な規程等の制定及び改廃に関することなどについて、適正であると認めたときはこれを承認することとしている。
成田会社は、契約に当たり、公正性、透明性等を確保するために、調達規程(平成18年規程第22号)等において契約に係る基本的事項を定めており、これによれば業務を民間会社等へ発注する場合の契約は、原則として競争契約によることとしている。しかし、子会社が民間会社等へ発注する場合の契約の方式等については、成田会社から特段の指示等はなく各社の裁量にゆだねられており、業務に必要な作業マニュアル等を整備することなどにより競争に付することが可能であると認められる一般的な業務内容等の契約についても随意契約によっている事態が見受けられた。
したがって、成田会社において、子会社が行う業務の発注について競争の利益をより享受できるよう競争的な契約方式の導入を図らせるよう、成田国際空港株式会社代表取締役社長に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、成田会社本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、成田会社は、本院指摘の趣旨に沿い、21年11月までに、連結子会社等管理規程を見直すとともに、子会社に調達規程を制定又は改正させるなどして、子会社が行う業務の発注について競争の利益をより享受できるよう競争的な契約方式の導入を図らせる処置を講じていた。