科目 | 管理費用、仕掛道路資産 | |
部局等 | 西日本高速道路株式会社本社、中国支社、3事務所 | |
契約名 | 平成20年度山口高速道路事務所管内登記申請書作成業務(単価契約)等12契約 | |
契約の概要 | 財産整理を実施する上で必要となる調査及び測量と併せて、登記申請書類の作成等を請け負わせるもの | |
契約の相手方 | エボシ技工調査設計株式会社等6会社 | |
契約 | 平成20年4月〜21年3月 随意契約(単価契約) | |
平成21年4月〜22年3月 随意契約(単価契約) | ||
上記契約に係る支払額 | 2億6780万余円 | (平成20、21両年度) |
落札比率を反映させることにより節減できた支払額 | 4540万円 | (平成20、21両年度) |
西日本高速道路株式会社(以下「西会社」という。)は、高速道路の建設に伴い、道路、水路等既存施設の機能が廃止される場合に、原因者として代替施設を建設し、これを既存施設の管理者等に移管(以下、移管された代替施設を「移管施設」という。)することによりその機能回復を図っており、高速道路の建設に当たっては、高速道路用地と併せて代替施設用地を取得している。そして、代替施設の移管後に管理者等と協議を行って、廃止された既存施設の土地及び移管施設の土地の権利関係を整理している(以下、代替施設の移管後に行う権利関係の整理に係る手続を「財産整理」という。)。
西会社は、平成17年10月の民営化に伴い財産整理が完了していない供用区間の移管施設敷地を旧日本道路公団等から承継するなどしており、19年度以降、特にこれらについて財産整理の進ちょくを図っている。
このうち、中国支社が財産整理を行う敷地は、用地取得年度や施設移管年度が古いことから、現地において境界杭が欠損していたり、用地取得時に行っていた境界測量の精度が低かったりなどしているため、隣接地及び高速道路敷地との境界が不明確となっている場合が多いことから、財産整理の協議に先立って境界を確定させるための測量を行う必要があった。
このため、同支社管内の3事務所(注)
は、隣接地及び高速道路敷地との境界を確定し移管施設敷地の面積を確定するための調査及び測量と併せて、分筆登記の際に必要となる書類の作成等を行う業務(以下「登記申請書類作成等業務」という。)を測量業者に発注することとし、19年度に指名競争契約により6件の業務(支払額計1億1609万余円)をエボシ技工調査設計株式会社等6会社に請け負わせて実施している。そして、20、21両年度においては、19年度に登記申請書類作成等業務を実施していて本件業務に精通している同一業者に継続して履行させる必要があるとして、登記申請書類作成等業務12件(支払額計2億6780万余円)を随意契約により同一業者に請け負わせて実施している。
中国支社は、登記申請書類作成等業務のうちの調査及び測量業務の積算に当たっては、これらの業務が比較的小規模であるなどのため、本社制定の「調査等積算要領」(以下「要領」という。)に定められている用地測量の各歩掛かりは適用できないとして、19年5月に「財産整理に伴う登記申請書類作成等業務積算基準」を新たに制定して同積算基準に基づき積算することとした。
また、登記申請書類作成等業務のうちの分筆等の表示に関する登記を法務局等に申請する業務については、本社制定の「用地関係調査等業務費積算基準第4編不動産登記(表示に関する登記)業務費積算基準」(以下、「財産整理に伴う登記申請書類作成等業務積算基準」と合わせて「両積算基準」という。)に基づき積算することとした。
本院は、経済性等の観点から、登記申請書類作成等業務について競争契約に引き続き随意契約により同一業者に業務を発注する場合の予定価格の積算が競争契約時における競争の利益を反映したものとなっているかなどに着眼して、本社、中国支社及び3事務所において、3事務所が19年度から21年度までの間に実施した前記の18契約を対象として、契約書、設計書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
3事務所は、20、21両年度に発注した12契約の予定価格については、両積算基準等に基づき算出した業務の項目ごとの積算単価にそれぞれの予定数量を乗ずるなどして算定していた。そして、両積算基準では競争契約に引き続き随意契約により同一業者に業務を発注する場合を想定していなかったため、そのような場合の予定価格の積算方法について特段の定めを設けておらず、3事務所は、19年度の指名競争契約時の競争の利益を反映させることなく予定価格を積算していた。
しかし、本件業務における調査及び測量業務が比較的小規模であるなどのため要領に定められている用地測量の各歩掛かりは適用できないとしても、要領では、本件契約のように競争契約に引き続き随意契約により同一業者に業務を発注する場合を想定して、競争契約時の落札比率を随意契約により発注する業務の予定価格の積算に反映させるための規定が設けられているのであるから、本件業務についてもこれに準じて予定価格の積算に当たっては、競争契約時の落札比率を反映させて算定すべきであると認められた。
このように、競争契約に引き続き随意契約により同一業者に業務を発注しているのに、予定価格の積算に競争の利益を反映させていない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
3事務所の登記申請書類作成等業務契約12件について、要領の規定に準じて、19年度の各業務の落札比率63.5%から92.4%を20、21両年度の各業務の積算単価に乗ずるなどして業務費を修正計算すると、20年度計1億4762万余円、21年度計7471万余円、合計2億2233万余円となり、前記支払額との差額約4540万円が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、本社及び中国支社において、登記申請書類作成等業務について、競争契約に引き続き随意契約により同一業者に発注する場合の予定価格の積算方法を検討しないまま両積算基準を制定していたことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、本社及び中国支社は、22年4月に、競争契約に引き続き随意契約により同一業者に登記申請書類作成等業務を発注する場合には、競争契約時の落札比率を予定価格の積算に反映させるよう両積算基準を改正して、同月以降、随意契約により同一業者に発注する業務から適用することとするなどの処置を講じた。