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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第11 本州四国連絡高速道路株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

料金収受実施業務委託契約の予定価格の積算に当たり、収受員等に係る扶養手当等の額を扶養親族の実態に即したものとするよう改善させたもの


料金収受実施業務委託契約の予定価格の積算に当たり、収受員等に係る扶養手当等の額を扶養親族の実態に即したものとするよう改善させたもの

科目 管理業務費
部局等 本州四国連絡高速道路株式会社本社、3管理センター
契約名 神戸淡路鳴門自動車道料金収受実施業務委託(その1)等16契約
契約の概要 料金所に収受員等を配置して、高速道路を通行する利用者から通行料金を収受するなどの業務を行わせるもの
契約金額 40億3579万余円 (平成20、21両年度)
契約の相手方 明石大橋総合サービス株式会社(平成21年10月1日以降は淡路ルートサービス株式会社)等8会社
契約 平成20年4月、21年4月 随意契約
料金収受実施業務委託契約における収受員等の扶養手当等の積算額 9億1578万余円 (平成20、21両年度)
上記のうち低減できた積算額 8420万円  

1 料金収受実施業務の概要

 本州四国連絡高速道路株式会社(以下「本四会社」という。)の神戸、岡山、しまなみ尾道各管理センター(以下、これらを「3管理センター」という。)は、毎年度、各料金所の料金収受実施業務を、「本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法」(昭和56年法律第72号)等による転業・転職対策として設立された明石大橋総合サービス株式会社(平成21年10月1日以降は淡路ルートサービス株式会社)等8会社に随意契約により委託して行わせており、20、21両年度における契約件数及び契約金額は、20年度8件、20億2761万余円、21年度8件、20億0817万余円、計16件、40億3579万余円となっている。
 この料金収受実施業務は、本四会社が管理する34か所の料金所にそれぞれ事務長、収受長、収受員等(以下、これらを合わせて「収受員等」という。)を適宜配置して、高速道路を通行する利用者から通行料金を収受するなどの業務を行うものである。
 3管理センターは、料金収受実施業務委託契約(以下「委託契約」という。)の予定価格について、本四会社制定の「料金収受業務委託実施基準」(以下「実施基準」という。)に基づいて積算している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、本四会社本社及び3管理センターにおいて、経済性等の観点から、委託契約の予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、前記の16件の契約を対象として、契約書、仕様書、設計書等の書類等を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、委託契約に係る収受員等の扶養手当及び特別手当(本俸及び扶養手当を基に夏季及び年末に支給される手当。以下、扶養手当と合わせて「扶養手当等」という。)の積算において、次のような事態が見受けられた。
 本四会社は、実施基準において、収受員等の標準的な扶養親族の構成を配偶者及び子又は父母等1人と想定し、これらに本四会社の社員給与規程で定められている扶養手当の月額(配偶者分13,000円、子又は父母等1人分6,500円)を適用して、収受員等1人当たりの扶養手当の月額を19,500円と定めていた。そして、3管理センターは、実施基準に基づき、収受員等の扶養手当等を、20年度計4億6205万余円、21年度計4億5373万余円、合計9億1578万余円と積算していた。
 しかし、本四会社では、本州四国連絡橋の建設に伴う転業・転職対策の実状を把握する目的で、前記の8会社における収受員等の扶養親族の人数等を毎年度調査していることから、より実態に即した収受員等1人当たりの扶養手当の月額を算定することが可能な状況となっていた。そして、20年度の調査の結果によると、収受員等397人について、扶養親族となる配偶者のいる収受員等は225人、扶養親族となる子及び父母等の総数は243人となっており、本四会社が実施基準において想定していた収受員等の標準的な扶養親族の構成に基づく人数よりも少ない状況となっていた。
 したがって、実施基準において、上記の調査の結果を反映させることなく、収受員等の標準的な扶養親族の構成を想定するなどして収受員等1人当たりの扶養手当の月額を定め、これにより委託契約の予定価格の積算を行っていた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(低減できた積算額)

 収受員等の扶養親族に係る調査の結果を反映させるなどして、20、21両年度の収受員等1人当たりの扶養手当の月額を算定すると、両年度とも13,000円となり、これにより委託契約に係る扶養手当等の額を修正計算すると、20年度計4億1947万余円、21年度計4億1203万余円、合計8億3151万余円となることから、前記の積算額を20年度計約4250万円、21年度計約4160万円、合計約8420万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、本四会社において、実施基準における収受員等1人当たりの扶養手当の月額について、毎年度行っている収受員等の扶養親族に係る調査の結果を反映させるなどして、より実態に即したものとする認識が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、本四会社は、収受員等の扶養親族に係る調査の結果を反映させるなどして、収受員等1人当たりの扶養手当の月額を13,000円とする実施基準の改正を22年2月に行うとともに、この改正された実施基準を3管理センターに通知し、3管理センターはこれに基づいて22年度の委託契約を締結するなどの処置を講じた。