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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第16 独立行政法人農畜産業振興機構|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

補助金により造成した基金について、機構の承認を受けて取り崩した基金の一部が当該承認を受けて支出することとした経費に充てられていなかったもの


(1) 補助金により造成した基金を補助の目的外に使用していたもの

1件 不当と認める機構の補助金 556,583,799円

補助金により造成した基金について、機構の承認を受けて取り崩した基金の一部が当該承認を受けて支出することとした経費に充てられていなかったもの

(1件 不当と認める機構の補助金 556,583,799円)

 畜産環境整備リース事業等3事業は、機構が、畜産経営の健全な発展に資するなどのため、畜産環境整備リース事業実施要綱(平成15年15農畜機第48号。15年9月以前は、畜産環境整備リース事業貸付機械取得資金造成事業助成実施要綱(昭和51年51畜A第4956号)等。以下、これらを「実施要綱」という。)等に基づき、畜産経営者等に対して、たい肥化施設等の機械施設の貸付けを行う事業(以下「リース事業」という。)を実施する財団法人畜産環境整備機構(以下「畜環機構」という。)に対して補助金を交付するものである。
 畜環機構は、たい肥化施設等の整備の推進を図るなどのため、この補助金により「畜産環境整備リース基金」等3基金(以下「リース基金」という。)を造成し、これらによりリース事業を実施している。そして、リース事業の実施に当たっては、畜環機構の一般会計と区分して特別会計で経理することとし、リース基金を取り崩してリース事業に要する経費に充てるとともに、機械施設の借受者から徴収する基本貸付料(注1) 、附加貸付料(注2) 等をリース基金に繰り入れている。
 また、畜環機構は、実施要綱等により、次の場合を除き、リース基金を取り崩してはならないとされている。

ア リース事業に要する経費に充てる場合
イ リース基金の資金運用により果実を得たとき及び機械施設の借受者から附加貸付料を得たとき、それらの額の合計額を限度として機構の理事長の承認を受けて支出する経費に充てる場合

 本院が、機構及び畜環機構において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

補助事業者 補助事業 年度 基金取崩額 左に対する機構の補助金相当額 不当と認める基金取崩額 不当と認める機構の補助金相当額
  千円 千円 千円 千円
(836) 財団法人畜産環境整備機構
(事業主体)
畜産環境整備リース等3事業 5〜20 1,067,500 1,067,500 556,583 556,583

 畜環機構は、平成5年度から20年度まで(10年度から14年度まで及び17年度を除く。)の毎年度、リース事業から生じた附加貸付料等の収入の一部をリース事業を推進するための経費に充てるとして機構の理事長の承認を受けてリース基金を取り崩し、畜環機構の一般会計に計1,067,500,000円(機構の補助金相当額同額)を繰り入れていた。
 しかし、畜環機構が一般会計に繰り入れた上記の金額計1,067,500,000円のうち、16,583,799円については、機構の理事長の承認を受けて支出することとしたリース事業を推進するための経費とは関係のない経費に充てられていた。また、540,000,000円については、機構の理事長の承認を受けて支出することとしたリース事業を推進するための経費に充てられることなく一般会計に積み立てられたままとなっていた。
 したがって、本件リース基金から取り崩した計1,067,500,000円のうち556,583,799円(機構の補助金相当額同額)は、機構の理事長の承認を受けて支出することとした経費に充てられておらず、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、畜環機構において、本件事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、機構において、本件補助事業の審査、確認及び畜環機構に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
 基本貸付料 機械施設の取得価額等を貸付期間で除して得た額
(注2)
 附加貸付料 機械施設の取得価額から前年度までに納付された基本貸付料を控除するなどして得た額に、畜環機構が別に定める利率を乗ずるなどして得た額