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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第16 独立行政法人農畜産業振興機構|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

補助の対象となる奨励金の交付を行っていなかったもの


(2) 事業の一部を実施していなかったもの

1件 不当と認める機構の補助金 9,602,970円

補助の対象となる奨励金の交付を行っていなかったもの

(1件 不当と認める機構の補助金 9,602,970円)

 中核肉用牛繁殖経営等育成対策事業等は、中核肉用牛繁殖経営等育成対策事業実施要綱(平成15年15農畜機第48号)等に基づき、社団法人全国肉用牛振興基金協会(平成16年3月31日以前は社団法人全国肉用子牛価格安定基金協会。以下「全国協会」という。)が、中核肉用牛繁殖経営育成対策事業等3事業を行うのに必要な資金に充てるための基金を造成する事業等に対して、これに必要な費用の全額 を機構が補助するものである。
 中核肉用牛繁殖経営育成対策事業等3事業は、都道府県知事の指定を受けた都道府県肉用子牛価格安定基金協会(以下「指定協会」という。)が、肉専用種繁殖雌牛(以下「繁殖雌牛」という。)の飼養者(肉用子牛生産安定等特別措置法(昭和63年法律第98号)第6条第1項に規定する生産者補給金交付契約を指定協会との間で締結している生産者であって、新たに飼養を開始する者を含む。以下「生産者」という。)に対して、所定の要件を満たす繁殖雌牛の増頭を行った場合に、毎年度、繁殖雌牛の増頭した頭数に応じて1頭当たり60,000円又は80,000円の奨励金を交付するものなどである。そして、全国協会は、機構が交付した補助金により造成した基金を取り崩して、指定協会が交付した奨励金の額と同額を補助している。
 本院が、機構及び4事業主体において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において次のような事態が見受けられた。

補助事業者 間接補助事業者 補助事業 年度 事業費 左に対する機構の補助金相当額 不当と認める事業費 不当と認める機構の補助金相当額
千円 千円 千円 千円
(837) 社団法人全国肉用牛振興基金協会 社団法人鹿児島県畜産協会
(事業主体)
中核肉用牛繁殖経営育成対策等3事業 12〜16 21,182 21,182 9,602 9,602

 指定協会である社団法人鹿児島県畜産協会(平成15年6月30日以前は社団法人鹿児島県肉用牛価格安定基金協会。以下「県協会」という。)は、鹿児島県鹿児島郡十島村内の生産者に対する奨励金の交付に当たり、十島村内における金融機関の利用が著しく不便なことなどから、奨励金を、生産者で組織する十島村畜産組合(同組合の事務局は、組合の規約に基づき鹿児島市内にある十島村役場に設置されていて、組合の経理等は、十島村職員が行っている。以下「畜産組合」という。)の金融機関口座へ一括して振り込んでおり、生産者に対する奨励金の交付は、十島村職員が行うことにしていた。
 しかし、畜産組合の経理等を実質的に取り扱っていた十島村職員は、12年度から16年度までの間に、生産者に対して交付すべきものとして県協会から畜産組合へ振り込まれた奨励金計21,182,970円のうち計9,602,970円を生産者に対して交付していなかった。そして、生産者に対して交付されていなかった奨励金の大半は、畜産組合の別口座に移し替えられてプールされ、畜産組合の活動経費として使用されるなどしていた。
 したがって、生産者に対して交付されていなかった奨励金に係る機構の補助金相当額計9,602,970円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、畜産組合の事務局として奨励金の交付に関する経理を行っていた十島村職員において、奨励金の適正な交付に対する認識が十分でなかったことにもよるが、県協会において、本件補助事業の実施状況の確認が十分でなかったこと、機構及び全国協会において、県協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。