独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)において、GXロケットの第2段ロケットに活用するLNGエンジンの開発に当たり、GXロケットの開発における官民の役割分担等が明確になっていなかったり、適時適切に宇宙開発戦略本部等にLNGエンジンの開発状況を報告・提供する手続が明確になっていなかったりなどしている事態が見受けられた。
したがって、機構において、GXロケットの開発における官民の役割分担等を十分確認するなどして機構の果たすべき役割等を明確にしたり、LNGエンジンの開発の状況と完成時期等の見通しを明らかにし、今後、他のプロジェクトも含めて適時適切に宇宙開発戦略本部等に報告する手続を明確にしたりするよう、独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構の筑波宇宙センターにおいて、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、GXロケットの開発について関係各機関と協議した結果、21年12月に、GXロケット自体の開発を取りやめることとし、22年3月に、GXロケットの第2段ロケットに活用するために行っていたLNGエンジンの開発については汎用性のあるLNGエンジンの基盤技術の確立に向けた研究開発を推進することとし、また、22年1月に発出した事務連絡に基づき、機構で実施している各プロジェクトの状況を宇宙開発戦略本部等に報告する手続を明確にするなどの処置を講じていた。