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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第22 独立行政法人日本貿易振興機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

契約家賃から海外職員自らが負担すべきと認められる共益費等相当額を控除するなどして住居手当の支給を適切なものとするよう改善させたもの


(2) 契約家賃から海外職員自らが負担すべきと認められる共益費等相当額を控除するなどして住居手当の支給を適切なものとするよう改善させたもの


科目 経常費用
部局等 独立行政法人日本貿易振興機構本部
海外職員に支給する住居手当の概要 海外職員が在勤地において勤務するのに必要な住宅費に充当される手当
契約家賃に含まれていると認められる共益費等相当額を控除しないまま支給していた住居手当の額 16億2552万余円(平成16年度〜21年度)
上記の支給額と契約家賃から共益費等相当額を控除するなどした場合の住居手当の支給額との差額     7492万円

1 住居手当の概要

 独立行政法人日本貿易振興機構(以下「機構」という。)は、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和27年法律第93号)に準じて定めた海外職員給与等に関する規程(平成21年独立行政法人日本貿易振興機構規程第63号。平成21年3月31日以前は「職員給与規程」等)に基づき、日本国外で勤務する職員(以下「海外職員」という。)に、その在勤地において勤務するのに必要な住宅費に充当するための住居手当等を支給している。
 機構は、海外職員に対する住居手当(以下、単に「住居手当」という。)について、上記の規程及び海外職員の住居手当支給に関する内規(平成15年独立行政法人日本貿易振興機構内規第37号。以下「内規」という。)に基づき、住宅の賃貸借契約書等(以下「契約書等」という。)に記載された月額家賃(以下「契約家賃」という。)から海外職員自らが負担すべき額を控除するなどした額(以下「認定家賃額」という。)と在勤地等の別に定められた限度額とを比較して、いずれか低い方の額を支給することとしている。そして、機構は、認定家賃額の算定に当たり、内規において、上記の海外職員自らが負担すべき額として共益費、光熱水道料等(以下「共益費等」という。)を契約家賃から控除することなどとしている。

2 検査の結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、合規性、経済性等の観点から、海外職員に対する住居手当は適切に支給されているかなどに着眼して、22年3月1日現在で海外事務所等に在勤していた海外職員323人に対して、16年度から21年度までの間のうち当該海外事務所等に在勤していた期間に支給された住居手当を対象として、機構本部において、住居手当認定申請書、契約書等の写し、住居手当認定額通知書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、契約家賃に共益費等が含まれている場合は、前記のとおり、契約家賃から共益費等の額を控除するなどして認定家賃額とすることとなっているが、上記の海外職員323人のうち252人については、契約家賃に共益費等が含まれていると認められるものの、契約書等で共益費等の額が明確にされておらず、かつ、その場合の取扱いが内規等に定められていないことなどから、機構は、契約家賃から共益費等を控除しないまま認定家賃額としていた。
 しかし、機構が内規等を定める際に参考とした外務公務員の場合、外務省の内部規程に基づき、契約家賃に共益費等が含まれていると認められ、かつ、契約書等に共益費等の額が明確にされていないときには、月額の共益費、電気料金、ガス料金、水道料金等に相当する額(以下「共益費等相当額」という。)としてそれぞれ定められている額を契約書等に表示された外貨に換算して、これを契約家賃から控除するなどして住居手当を支給することとなっている。
 そこで、前記の252人に対して支給された住居手当(赴帰任時等の一時宿泊費及び月途中の契約に係る日割契約家賃分を除く。)の邦貨換算額16億2552万余円について、外務公務員の場合に共益費等相当額として定められているのと同額を契約家賃から控除するなどして認定家賃額を修正計算すると、上記住居手当の支給額は15億5060万余円となり、7492万余円の開差が生ずることになると認められた。
 このように、契約家賃に海外職員自らが負担すべき共益費等が含まれていると認められるのに、その額が契約書等で明確にされておらず、その場合の取扱いが内規等に定められていないなどとして、契約家賃から共益費等相当額を控除しないまま認定家賃額を算定し、この算定額を基に住居手当を支給するなどしていた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、機構において、共益費等の額が契約書等に明確にされていない場合であっても、契約家賃に共益費等が含まれていると認められる場合には、契約家賃から共益費等相当額を控除するなどして認定家賃額を算定することにより、住居手当の支給を適切なものとすることについての配慮が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構は、22年9月に内規を改正して、契約家賃に海外職員自らが負担すべき共益費等が含まれていると認められ、その額が明確にされていない場合には、契約家賃から所定の方式で計算した共益費等相当額を控除するなどして認定家賃額を算定することとし、その旨を海外職員及び住居手当の支給を行う担当部課等に周知徹底を図り、同年10月から適用することとする処置を講じた。