ページトップ
  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第25 独立行政法人雇用・能力開発機構|
  • 不当事項|
  • 予算経理

物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って経費を支払っていたもの


(855) 物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って経費を支払っていたもの

会計名及び科目 一般勘定(平成16年2月29日以前は、雇用・能力開発機構一般会計(雇用保険勘定))
部局等 9都道府県センター等
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 物品の購入等に係る代金
不適正な会計経理により支払われた金額 8,461,177円(平成14年度及び16年度〜20年度)

1 物品の購入等に係る会計経理の概要

 独立行政法人雇用・能力開発機構(平成16年2月29日以前は雇用・能力開発機構。以下「機構」という。)は、労働者の有する能力の有効な発揮及び職業生活の充実を図るため、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置及び運営等の業務を行っている。そして、その目的を達成するため、都道府県センター、職業能力開発促進センター、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校及び職業能力開発短期大学校(以下、これらを合わせて「都道府県センター等」という。)の設置及び運営を行っている。
 そして、都道府県センター等の施設で使用する消耗品、備品等の購入、印刷物の作成等(以下「物品の購入等」という。)に係る経費については、一般勘定等(16年2月29日以前は、雇用・能力開発機構一般会計の雇用保険勘定等)から支払われている。
 機構における物品の購入等に係る契約、支払等の会計事務手続については、会計規程(平成16年独立行政法人雇用・能力開発機構規程第12号)、検査員並びに監督員の任命及び職務に関する件(平成16年達第45号)等に基づき、おおむね次のとおり行われることとなっている。
〔1〕  経理事務責任者は、契約事務責任者に対し、物品の取得等を請求する。
〔2〕  契約事務責任者は、上記の請求に基づいて物品の取得等のため、業者と契約を締結する。
〔3〕  契約事務責任者は、業者から物品が納入された後、上記の契約が適切に履行されたかを確認するため、検査を担当する職員に納入された物品の品目、数量、納品時期等について必要な検査を行わせた上で経理事務責任者に支払を依頼する。
〔4〕  経理事務責任者は、支出決議を行い、出納事務責任者に対し業者への代金の支払を命ずる。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、物品の購入等に係る会計事務手続が会計規程等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、機構本部、27都道府県センター等において、16年度から21年度までの間に締結した物品の購入等に係る契約を対象として、契約書等の書類により検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に機構に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。なお、検査の過程において不適正な事態等が判明した場合には、可能な範囲において過去の年度までさかのぼって検査を実施した。

(2) 検査の結果

 検査の結果、機構の9都道府県センター等において、14年度及び16年度から20年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って、物品の購入等の代金を支払っていたものが、計40件、8,461,177円あった。
 これを態様別に示すと、次のとおりである(表参照)

ア 預け金

業者に架空取引を指示するなどして、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより代金を支払い、当該代金を業者に預け金等として保有させて、後日、これを利用して契約した物品とは異なる物品を納入させるなどしていたもの

5都道府県センター等、16件、支払額7,877,931円

イ 差替え

業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより代金を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させるなどしていたもの

5都道府県センター等、24件、支払額583,246円

 不適正な会計経理により支払われた物品の購入等代金の施設別・態様別内訳
(単位:件、円)

都道府県センター等名 年度 ア 預け金 イ 差替え
件数 金額 件数 金額 件数 金額
北海道センター 平成18 1 65,100 1 65,100
福島センター 17〜20 9 2,617,349 9 2,617,349
千葉センター 19 1 138,600 1 138,600
岐阜センター 16 4 813,487 4 813,487
熊本センター 18 1 3,465 1 3,465
大分センター 14 1 4,262,232 1 4,262,232
熊本職業能力開発促進センター 14、17 1 181,398 1 210,000 2 391,398
近畿職業能力開発大学校附属滋賀職業能力開発短期大学校 17 19 86,386 19 86,386
港湾職業能力開発短期大学校神戸校 17、18 2 83,160 2 83,160
9都道府県センター等 16 7,877,931 24 583,246 40 8,461,177

 これらのア及びイの事態は、9都道府県センター等において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って物品の購入等代金計8,461,177円を支払っていたもので、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、機構の9都道府県センター等において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計規程等を遵守することの認識が欠如していたこと、このような適正でない会計経理を組織的に点検できなかったことなどによると認められる。