科目 | 一般勘定 |
部局等 | 独立行政法人雇用・能力開発機構本部 |
契約名 | 運営委託契約等6契約 |
契約の概要 | 国際能力開発支援センターの運営業務を委託するもの |
契約の相手方 | 財団法人海外職業訓練協会 |
契約 | 平成16年4月、17年4月、18年4月、19年4月、20年4月、21年4月随意契約 |
委託先に留保されていた剰余金等 | 4億9637万円(平成21年度末) |
独立行政法人雇用・能力開発機構(平成11年9月30日以前は雇用促進事業団。以下「機構」という。)は、雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく能力開発事業の一環として、事業活動の国際化に対応させるための労働者の職業能力の開発等を行う事業主等を援助することにより、我が国労働者の国際化対応能力の向上を図ることなどを目的として、昭和59年に国際能力開発支援センター(平成15年3月31日以前は海外職業訓練協力センター。以下「センター」という。)を設置している。そして、機構は、毎年度、財団法人海外職業訓練協会(以下「協会」という。)との委託契約により、センターの運営を委託している。センターには、研修室59室、宿泊室389室、シンポジウムホール(980席)等の施設が備えられ、事業主等は施設利用料等を支払うことによりこれらの施設を利用することができることとなっている。
機構は、センターの運営を協会に委託するに当たり、運営委託契約書において、センターの運営に関して次のように定めている。
ア 委託費は無償とし、センターの運営により生ずる施設利用料等の運営収入は協会に帰属するものとし、センターの運営費(以下「運営費」という。)に充当しなければならない。
イ 協会は、センターの運営収支の額を明らかにした帳簿等を備え、運営費について他の経費と区分しておかなければならない。
ウ 協会は毎事業年度の終了後、運営収支実績報告書を機構に提出しなければならない。
本院は、経済性等の観点から、センターの運営により生じた運営収支差額の発生状況及びその精算はどのようになっているかなどに着眼して、機構本部及び協会において、16年度から21年度までのセンターの運営委託契約を対象として、運営収支実績報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
運営収支実績報告書によると、16年度から21年度までのセンターの運営収支は各年度においていずれも収入が支出を上回っており、15年度以前の運営収支差額も含めた21年度末の運営収支差額の累計額は3億3071万余円となっていた。また、センターの運営収支の支出項目の中には、固定資産の取得費用のほか固定資産の更新時の取得財源に充てるための積立額が含まれており、その21年度末の積立金残高は1億6566万余円となっていた。
そして、これらのセンターの運営により生じた運営収支差額の累計額及び積立金残高(以下、これらを「剰余金等」という。)は機構へ引き渡されることなく協会に留保されていた。
しかし、剰余金等は、労働保険特別会計における保険料等の収入を財源として設置されたセンターの運営を、協会が運営委託契約に基づき、機構の実施する事業として行ったことにより得られたものであり、剰余金等計4億9637万余円が精算されることなく協会に留保されている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、機構において、剰余金等について精算の必要性の認識を欠いていたため、各年度の運営委託契約に精算条項を設けておらず、剰余金等の取扱いを明確にしていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、22年4月に締結した22年度運営委託契約に精算条項を設けて、委託期間終了時に協会から剰余金等の引渡しを受けられることとする処置を講じた。