科目 | (都市再生勘定) | (款)業務外収入 | (項)業務外収入 |
(宅地造成等経過勘定) | (款)業務外収入 | (項)業務外収入 | |
部局等 | 独立行政法人都市再生機構 | ||
宿舎の使用料の減額の概要 | 単身赴任者が入居する宿舎の使用料について、当該宿舎の使用料に100分の70を乗じて得た額に減額するもの | ||
単身赴任者が入居する宿舎に係る使用料の徴収額 | 7983万余円 | (平成18年4月分から21年12月分まで) | |
上記について使用料の減額を行わなかったとした場合の宿舎の使用料の増加額 | 3270万円 |
独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人都市再生機構宿舎規程(平成16年7月規程第22号。以下「宿舎規程」という。)に基づき、役職員に貸与する宿舎を管理運営しており、平成21年12月末現在における戸数は、世帯用宿舎1,004戸、単身用宿舎407戸、計1,411戸となっている。
機構が貸与する上記宿舎の使用料は、宿舎規程及び宿舎の使用料に関する達(平成16年7月達第71号。以下「通達」という。)に基づき、宿舎の延べ面積や所在地に応じて定められた1m2
当たりの基準使用料(以下「基準使用料」という。)に、当該宿舎の延べ面積を乗ずるなどして算定することとなっている。そして、基準使用料の額等については、国家公務員宿舎法施行令(昭和33年政令第341号)に準拠したものとなっている。
機構は、宿舎の使用料の算定に当たり、独立行政法人都市再生機構職員給与規程(平成16年7月規程第6号)に規定する単身赴任手当の支給を受ける職員(以下、単身赴任手当の支給を受ける職員を「単身赴任者」という。)が宿舎に入居する場合の宿舎の使用料については、上記の方法で算定した当該宿舎の使用料に100分の70を乗じて得た額に減額することとしている。
そして、機構の単身赴任手当は、異動等に伴い住居を移転することにより、同居していた配偶者と別居して単身で生活することを常況とすることとなった職員に対して支給されるもので、所定の月額に職員の住居と配偶者の住居との間の交通距離の区分に応じた額を加算した額となっていて、その額等については、国における「一般職の職員の給与に関する法律」(昭和25年法律第95号)に準拠したものとなっている。
本院は、経済性等の観点から、機構が管理運営している宿舎のうち単身赴任者が入居している宿舎について、宿舎の使用料の算定は適切に行われているかなどに着眼して検査を実施した。
検査に当たっては、18年4月分から21年12月分までの単身赴任者から徴収した宿舎(21年12月末現在では179戸)の使用料計7983万余円を対象として、機構本社及び西日本支社において、単身赴任者の入居状況、宿舎の使用料の徴収実績等について会計実地検査を行うとともに、その他の支社については同様の内容について報告を求めて、その内容を確認するなどの方法により検査した。
検査したところ、機構は、上記宿舎の使用料の算定に当たり、前記のとおり、単身赴任者が入居する宿舎について、世帯用宿舎、単身用宿舎の別なく、使用料の減額を行っていた。そして、このように使用料を減額する取扱いとしている理由を次のとおりとしていた。
すなわち、機構の前身である都市基盤整備公団では、世帯用宿舎を使用していた単身者のうち相当数が単身赴任者であったことなどから、必要以上に広い世帯用宿舎を使用させることは単身赴任者に経済的な負担を強いること、同公団の職員は全国各地に転勤する可能性があり職員の転勤が円滑に行われる必要があることなどを総合的に勘案して、13年5月に、宿舎の使用料を減額する取扱いを定めていた。そして、機構が16年7月に同公団の業務を承継する際にも、上記と同様の理由から使用料の減額に係る規定を引き続き定めていた。
しかし、機構が宿舎の基準使用料や単身赴任手当について準拠している国においては、宿舎の使用料について、経年劣化等により生ずる居住性の相違について金額の調整を行うのみで、入居者が単身赴任者であることによる使用料の減額は行っていない。また、全国各地に転勤する可能性がある他の独立行政法人においても、このような使用料の減額は行っていない。
さらに、機構が単身赴任者に対し使用料の減額を行っていることは、単身赴任者が単身用宿舎に入居した場合であっても使用料を減額していることや、単身赴任手当の支給を受けない独身の職員が世帯用宿舎に入居した場合であっても使用料の減額が無いことから、独身の職員に対する取扱いとの比較において、公平性に欠けるものとなっている。
したがって、機構が、単身赴任者の入居する宿舎の使用料について使用料の減額を続けている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
単身赴任者の宿舎の使用料について、18年4月分から21年12月分まで使用料の減額を行わなかったとして、これを算定すると、計1億1253万余円となり、前記の徴収額計7983万余円に比べて3270万余円が増加することになると認められた。
このような事態が生じていたのは、機構において、単身赴任者が入居する宿舎の使用料の算定が適切なものとなっているかについて検討を十分に行っていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、21年11月に通達を改正して、単身赴任者が入居する宿舎について使用料の減額を行わないこととし、22年1月から適用することとする処置を講じた。