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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第30 独立行政法人都市再生機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

事務所清掃等業務費の積算を清掃員の勤務時間及び業務実態に基づいて適切に行うよう改善させたもの


(2) 事務所清掃等業務費の積算を清掃員の勤務時間及び業務実態に基づいて適切に行うよう改善させたもの

科目 (都市再生勘定) (項)一般管理費
  (宅地造成等経過勘定) (項)一般管理費部局等
部局等 独立行政法人都市再生機構募集販売本部及び2支社
契約名 独立行政法人都市再生機構募集販売本部庁舎清掃業務等6件
契約の概要 事務所の清掃及び給茶機の洗浄等の業務を請け負わせるもの
契約の相手方 中央管財株式会社
契約 平成20年4月、21年4月 随意契約
契約金額 1億7230万余円 (平成20、21両年度)
節減できた事務所清掃等業務費 2430万円 (平成20、21両年度)

1 事務所清掃等業務の概要

 独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)の本社、募集販売本部及び支社(以下、これらを合わせて「支社等」という。)は、自ら所有したり、賃借したりして使用している事務所の清掃業務及び給茶機の洗浄等業務(以下、これらを「事務所清掃等業務」という。)をそれぞれ民間業者に請け負わせて実施しており、その契約件数及び契約額は、平成20、21両年度で計23件、4億5029万余円となっている。
 支社等は、これらの事務所清掃等業務に係る契約の締結に当たり、機構本社制定の「事務所清掃業務の積算基準について」(以下「通達」という。)に基づき事務所清掃等業務費の積算を行っている。通達によると、事務所清掃等業務のうち事務所の清掃業務に係る労務費は、国土交通省が定めている「建築保全業務積算要領」(以下「積算要領」という。)における「清掃」の歩掛かりを準用して、これに同省が別途定めている清掃員の労務単価(以下「清掃員単価」という。)を乗じて積算することとなっている。そして、清掃員単価は、清掃員A、同B及び同Cの区分ごとに異なっており、これらの各区分の清掃員に求められている技能・実務経験等は、次表 のとおりとなっている。
 また、給茶機の洗浄等業務に係る労務費は、通達に積算方法が示されていないことから、支社等においては、独自に歩掛かりを策定して、これに清掃員単価を乗じて積算している。

 清掃員の区分及び技能・実務経験等

区分 技能・実務経験等
清掃員A 清掃業務について、作業の内容判断ができる技術力及び作業の指導等の総合的な技能を有し、実務経験6年以上程度の者
清掃員B 清掃業務について、作業の内容判断ができる技術力及び必要な技能を有し、実務経験3年以上6年未満程度の者
清掃員C 清掃業務について、清掃員A又は清掃員Bの指示に従って作業を行う能力を有し、実務経験3年未満程度の者

2 検査の結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 事務所清掃等業務は、毎年度、支社等において実施されていて、これに係る費用は多額に上っている。
 そこで、本院は、経済性等の観点から、事務所清掃等業務費の積算が適切に行われているかなどに着眼して、20、21両年度に支社等が締結した前記の事務所清掃等業務に係る契約計23件、4億5029万余円を対象に、支社等において、契約書、積算書、仕様書等の書類及び業務実態を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

 (検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 募集販売本部、東日本支社及び東京都心支社(以下、これらを合わせて「3支社」という。)は、それぞれ入居しているビルのビル管理会社が指定した中央管財株式会社と随意契約を締結しており、その契約件数及び契約額は、20年度3件、8717万余円、21年度3件、8512万余円、計6件、1億7230万余円となっていた。
 そして、3支社は、事務所清掃等業務費の積算に当たり、積算要領の歩掛かりを用いるなどしていたが、このうち事務所の清掃業務に係る労務費については、清掃業務を機構の勤務日に行う日常清掃と機構の勤務日以外に行う定期清掃としていて、日常清掃のうち機構職員の出勤前に行う清掃と定期清掃は、清掃員にとっても勤務時間外の清掃であり賃金の割増しが必要であると考えて、すべての清掃時間について積算要領の歩掛かりに1.25を乗ずる補正を行っていた。また、給茶機の洗浄等業務に係る労務費については、飲料水及び食器の洗浄等に直接携わることから安全性及び信頼性の確保が必要であるとして、清掃員単価のうち清掃員Aの労務単価を適用していた。
 しかし、事務所の清掃業務は、日常清掃、定期清掃とも清掃員にとっては正規の勤務時間内に行われているものであることから、歩掛かりの補正は必要ないと認められた。また、給茶機の洗浄等業務は、衛生管理に注意が必要な茶葉の交換や湯飲み茶碗の洗浄等を行うものの、当該業務において指導等の総合的な技能が求められているものではないことから、清掃員Aの労務単価とする必要はないと認められた。
 このように、事務所清掃等業務費の積算に当たり、正規の勤務時間内の業務であるのに勤務時間外の業務であると誤って判断して歩掛かりの補正を行っていたり、業務の実態とかい離した過大な労務単価を適用したりしている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

 (節減できた事務所清掃等業務費)

 上記のことから、3支社の事務所清掃等業務に係る契約6件について、事務所の清掃業務については歩掛かりの補正を行わず、給茶機の洗浄等業務についてはその業務の実態から清掃員Bの労務単価を適用して修正計算すると、積算額は20年度7482万余円、21年度7317万余円となり、前記契約額との差額両年度計約2430万円が節減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、3支社において、積算要領の理解が十分でなかったこと及び給茶機の洗浄等業務の実態を十分把握していなかったことにもよるが、本社において、清掃員の正規の勤務時間は支社等の職員の正規の勤務時間とは異なるものであることについて指導が十分でなかったこと及び給茶機の洗浄等業務費の積算方法を業務の実態を踏まえた上で通達等において明確に示していなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構は、22年7月に支社等に対し通知等を発し、清掃員と機構職員の正規の勤務時間は異なるものであることについて周知徹底するとともに、給茶機の洗浄等業務費の積算方法について労務単価は清掃員B又は同Cの単価を参考とすることとして、事務所清掃等業務費の節減を図る処置を講じた。