科目 | 経常費用 業務費 |
部局等 | 国立大学法人山口大学 |
会計経理の内容 | 大学院等における研究用物品の購入 |
不適正な会計経理の額 | 126,743,002円(平成16年度〜21年度) |
国立大学法人は、学部、大学院等(以下、これらを合わせて「大学院等」という。)を設置している。大学院等は、研究で使用する消耗品等(以下「研究用物品」という。)を購入しており、各国立大学法人の会計規則等により処理することとなっている。そして、研究用物品の購入の契約については、会計規則等の定めるところにより、その給付の完了の確認を行うこととなっている。
本院は、合規性等の観点から、予算が会計規則等に従って適切に執行されているか、特に研究用物品の購入に係る会計経理が適正に行われているかなどに着眼して、18国立大学法人において会計実地検査を行った。そして、これらの国立大学法人における納品書、請求書等の書類により検査するとともに、会計規則等に違反していて、予算の執行が適切でないと思われる事態があった場合には、当該国立大学法人に報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。
検査したところ、国立大学法人山口大学(以下「山口大学」という。)において、次のとおり会計規則等に違反していて不適正な会計経理を行っている事態が見受けられた。
すなわち、山口大学は、平成16年度から21年度までの間に大学院等に所属する15名の研究者から納品書、請求書等の提出を受けるなどして研究用物品の購入代金を業者に支払っていた。
しかし、この購入代金のうち126,743,002円については、次表
のとおり、実際には上記15名の研究者が、業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させ山口大学に架空の取引に係る購入代金を支払わせていたものであり、その全額を業者に預けて別途に経理するなどしていた。
表 | 山口大学における架空の取引に係る支払状況 | (単位:円) |
研究者 | 年度 | 架空の取引に係る購入代金 |
A | 平成16〜21 | 120,216,978 |
B | 16、18、19 | 1,481,550 |
C | 18〜20 | 1,117,341 |
D | 19 | 869,400 |
E | 18、19 | 736,900 |
F | 16 | 480,949 |
G | 18 | 384,720 |
H | 18 | 369,171 |
I | 17 | 358,680 |
J | 18〜20 | 279,195 |
K | 17 | 278,250 |
L | 18、19 | 92,704 |
M | 16 | 43,260 |
N | 16 | 19,204 |
O | 19 | 14,700 |
計 | 16〜21 | 126,743,002 |
以上のように、事実と異なる会計経理を行い、代金を支払っている事態は、会計規則等に違反していて、126,743,002円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、研究者において、大学の予算の原資が税金等の公金であり、事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、山口大学において、研究用物品の納品検査等が十分でなかったことによると認められる。