会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)総務本省 | |||||
(項)参議院議員通常選挙費 | (平成19年度) | ||||||
(項)選挙制度等整備費 | (平成21年度) | ||||||
部局等 | 総務本省 | ||||||
執行経費の概要 | 都道府県及び市町村の選挙管理委員会が管理する国会議員の選挙等の執行について国が負担する経費 | ||||||
検査の対象とした執行経費の交付先 | 16都府県及び管内188市町 | ||||||
上記に対して交付した執行経費の額 |
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【意見を表示したものの全文】
国会議員の選挙等の執行経費の適正化について
(平成22年9月8日付け総務大臣あて)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。
記
国会議員の選挙、最高裁判所裁判官の国民審査等に関する事務(以下「選挙事務」という。)は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)等に基づき都道府県及び市町村の選挙管理委員会が行い、これに要する経費(以下「執行経費」という。)は、国が負担することとされている。執行経費については、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律」(昭和25年法律第179号。以下「基準法」という。)において、投票所経費、開票所経費、事務費等の経費の種類ごとに基本額が定められている。
貴省は、執行経費の経費の種類ごとに基本額算定表を定めて都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)に提示するとともに、執行経費の算定に必要な様式を示している。都道府県は、これらの様式等に従って執行経費を算定した資料(以下「算定資料」という。)を当該都道府県分と管内市町村分とを取りまとめの上、貴省に提出している。そして、貴省は、これらの算定資料に基づき、交付額を算定して都道府県に交付し、都道府県は、当該交付額のうち管内市町村分として交付を受けた額を市町村に交付している。そして、都道府県及び市町村は、交付を受けた金額の範囲内で、経費の種類相互間で融通して補うことができるとされている。
また、基準法においては、避けることのできない事故その他特別の事情によって執行経費の交付額をもって選挙事務を執行することができない都道府県又は市町村に対しては、執行経費の交付額の100分の5以内の額で別に予算をもって定められたものの範囲内において、必要な経費を追加して交付することができることとなっている(以下、追加して交付する経費を「調整費」という。)。貴省は、調整費の交付に当たり、経費の種類ごとに金額、理由等を記載した調整費の要望を提出させ、内容を審査した上で交付している。
貴省は、国会議員の選挙等の実施に合わせて、毎回、選挙の管理執行について、都道府県選挙管理委員会に総務省自治行政局選挙部長通知等を発している。その中で、選挙の管理執行体制等について、従来の慣行にとらわれることなく、合理化の見地から全般的に検討を加え事前に周到な計画を樹立して、経費の適切かつ効率的な使用及び速やかな支出に努めるとともに、経費使用の明確化を図るため経理補助簿を作成すること、また、交付される金額の範囲内で経費の種類相互間の調整を図り、執行経費に不足を生じることのないよう特に配慮することを通知して、併せて管内の市町村の選挙管理委員会に対しても都道府県選挙管理委員会から通知するように求めている。
また、都道府県選挙管理委員会にあてて平成21年6月に発した「第45回衆議院議員総選挙及び第21回最高裁判所裁判官国民審査に係る執行委託費の経理について(通知)」(平成21年総行管第161号総務省自治行政局選挙部管理課長通知)の中で、選挙事務を適法に、かつ適正に処理するためには交付された総額の範囲内で、融通して補うことはこの法律の趣旨に反するものではなく、また、委託費について精算を要するものではないとしている。
基準法は、投票所経費及び開票所経費について次のように定めている。
投票所経費は、投票日が平日か休日かの別に、特別区及び指定都市の区、市並びに町村の三つの区分ごとに、投票区の選挙人の数に応じた1投票所当たりの基本額が衆議院議員選挙、参議院議員選挙のそれぞれごとに定められており、投票日が休日の場合の基本額は表1のとおりとなっている。
表1 投票所経費の基本額(投票日が休日の場合)
(単位:円)
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特別区及び指定都市の区
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市
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町村
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|||||||
参議院議員選挙
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衆議院議員選挙
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参議院議員選挙
|
衆議院議員選挙
|
参議院議員選挙
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衆議院議員選挙
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500人未満
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265,534
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271,286
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291,756
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297,508
|
252,192
|
257,944
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||||
500人以上1,000人未満
|
305,430
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311,182
|
331,652
|
337,404
|
292,088
|
297,840
|
||||
1,000人以上2,000人未満
|
365,527
|
371,279
|
391,749
|
397,501
|
346,102
|
351,854
|
||||
2,000人以上3,000人未満
|
384,221
|
389,973
|
397,501
|
403,253
|
391,749
|
397,501
|
||||
3,000人以上5,000人未満
|
430,269
|
436,021
|
482,713
|
488,465
|
437,397
|
443,149
|
||||
5,000人以上10,000人未満
|
518,132
|
529,636
|
531,412
|
542,916
|
485,764
|
497,268
|
||||
10,000人以上15,000人未満
|
617,349
|
628,853
|
656,851
|
668,355
|
605,451
|
616,955
|
||||
15,000人以上20,000人未満
|
870,466
|
881,970
|
975,354
|
986,858
|
765,035
|
776,539
|
||||
20,000人以上
|
1,161,479
|
1,172,983
|
1,135,933
|
1,147,437
|
924,618
|
936,122
|
基本額算定表によると、投票日が休日の場合の投票所経費の基本額の内訳で大きな割合(8割程度)を占めているのは、市町村の一般職員が正規の勤務時間外に投票所の事務(以下「投票所事務」という。)に従事する(以下、投票所事務に従事する者を「投票所事務従事者」という。)ことを想定して算定されている超過勤務手当である。なお、特別区及び指定都市の区に係る投票所経費については、投票所事務従事者として賃金職員を雇い入れるのに必要な経費が計上されている。
開票所経費は、投票日が平日か休日かの別に、また開票を投票の当日に行うか翌日に行うかの別に、投票の翌日が平日か休日かに区分して、開票区の選挙人の数に応じた1開票所当たりの基本額が定められており、投票日が休日で投票の当日に開票を行う場合の基本額は表2のとおりとなっている。なお、参議院議員選挙及び衆議院議員選挙の開票所経費の基本額は同額となっている。
表2 開票所経費の基本額
(投票日が休日で投票当日に開票を行う場合)
(単位:円)
開票区の選挙人の数\投票の翌日
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平日
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休日
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1,000人未満
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309,416
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319,208
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1,000人以上2,000人未満
|
438,051
|
452,739
|
2,000人以上3,000人未満
|
561,637
|
580,677
|
3,000人以上5,000人未満
|
676,368
|
699,760
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5,000人以上10,000人未満
|
814,588
|
842,876
|
10,000人以上15,000人未満
|
1,029,033
|
1,065,481
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15,000人以上20,000人未満
|
1,281,462
|
1,327,158
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20,000人以上30,000人未満
|
1,453,028
|
1,505,252
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30,000人以上
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1,581,716
|
1,638,836
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基本額算定表によると、投票日が休日で投票当日に開票を行う場合の開票所経費の基本額の内訳で大きな割合(9割程度)を占めているのは、投票所経費の場合と同様に、市町村の一般職員が正規の勤務時間外に開票所の事務(以下「開票所事務」という。)に従事する(以下、開票所事務に従事する者を「開票所事務従事者」という。)ことを想定して算定されている超過勤務手当である。ただし、開票所経費には、開票所事務従事者として賃金職員を雇い入れるのに必要な経費は計上されていない。
また、選挙人の数が3万人以上の開票区の開票所経費については、3万人を超える選挙人の数1万人ごとに、基本額算定表に表示された選挙人の数3万人以上の区分の基本額に地域加算等をした額の100分の30相当額を加算することとされている(以下、この額の加算を「開票所加算」という。)。
調整費については、貴省は、都道府県選挙管理委員会に対して事務連絡を発するなどして、その要望に係る支出が選挙事務の執行に不可欠であるか否かについて十分に検討することなどに留意するとともに、管内の市町村の選挙管理委員会に対しても周知するよう求めている。
基準法には選挙事務に必要な備品の購入について規定はなく、基本額算定表においても、備品の購入に係る経費は計上されていない。しかし、都道府県及び市町村は、投票所事務及び開票所事務の省力化を図るなどのため備品を購入し、執行経費として交付された額の中からその購入に係る費用の支出を行っている。
このことに関して、貴省は、前記の21年6月の通知の中で、備品の購入に当たっては、当該備品がなければ選挙の管理執行に支障を来すのかを十分に見極めた上で必要やむを得ないものに限るとし、単に耐用年数が到来したとの理由のみによる備品の買換えは、次回の選挙に備えるための経費と位置づけられるので、次回交付される執行経費で対応することとしている。