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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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情報システム関係業務に係る請負契約において、計上の必要がない人件費に係る管理費等を計上していたため、予定価格が過大となり契約額が割高となっていたもの


(1) 情報システム関係業務に係る請負契約において、計上の必要がない人件費に係る管理費等を計上していたため、予定価格が過大となり契約額が割高となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)沖縄総合事務局 (項)沖縄総合事務局
部局等 内閣府沖縄総合事務局
契約名 平成22年度沖縄総合事務局総務部LANシステム保守管理及び運用
  支援業務等3契約
契約の概要 沖縄総合事務局総務部職員に電子メール等のサービスを提供する総務部LANシステムを維持するために運用支援業務を行うものなど
契約の相手方 株式会社オーシーシー、T&C株式会社
契約 平成22年4月 一般競争契約
契約額
74,355,750円
(平成22年度)

割高となっていた契約額
1180万円
(平成22年度)

1 情報システム関係業務に係る請負契約の概要等

(1) 請負契約の概要

 内閣府沖縄総合事務局(以下「事務局」という。)は、平成22年度に、総務部LANシステム等に係る運用支援業務及び保守管理業務を、一般競争契約により株式会社オーシーシー及びT&C株式会社に、契約件数計3件、契約額計74,355,750円で請け負わせて実施している。
 そして、仕様書によると、運用支援業務は、情報システムの稼働状況の確認、把握等を行うものであり、保守管理業務は、情報システムを構成する機器等に障害が発生した場合等に障害内容の特定や対処等を行うものであるとされている。また、障害が発生した場合等には、請負業者は専門業者と連絡調整等を行うこととされている。

(2) 予定価格の積算方法

 事務局は、本件3契約の予定価格の積算に当たり、請負業者が実施する運用支援業務及び保守管理業務に係る人件費と、ハードウェア及びソフトウェアの修理、復旧等の業務を専門業者に外注して行わせるための外注費をそれぞれ算定し、これらの合計額に管理費を加算するなどしていた。
 このうち、人件費については、市販の積算参考資料(以下「積算資料」という。)に掲載されている情報システムに係る運用業務等の技術者(以下「システム運用業務等技術者」という。)の料金単価に仕様書に定める契約期間内の業務日数を乗ずるなどして算定していた。そして、積算資料によれば、システム運用業務等技術者の業務内容は、情報システムの監視、稼働状況の報告、障害の確認と連絡等となっている。
 また、外注費については、前年度に本件業務を実施していた請負業者から徴した参考見積書の価格等を用いて算定していた。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、事務局において、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、前記の3契約を対象として、契約書、仕様書、予定価格調書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 人件費に係る管理費について

 事務局は、本件3契約の予定価格の積算に当たり、人件費に係る管理費として、積算資料のシステム運用業務等技術者の料金単価に基づき算出した人件費の合計額に、建築保全業務積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修。以下「積算基準」という。)の一般管理費等率を参考に、20%を乗じて算定していた。
 しかし、上記の料金単価には、人件費に係る管理費に相当する諸経費が含まれており、予定価格の積算に当たり、人件費とは別に人件費に係る管理費を計上する必要はなかった。

イ 障害発生時等に係る業務の費用について

 事務局は、本件3契約のうち2契約の予定価格の積算に当たり、仕様書で請負業者に対して求めている障害発生時等に係る業務の費用について、外注費に係る管理費として、外注費の合計額に、積算基準の一般管理費等率を参考に、20%を乗じて算定していた(以下、外注費に係る管理費として計上していたこの費用を「障害対応費」という。)。
 しかし、前記のとおり、積算資料のシステム運用業務等技術者の業務内容には、障害の確認と連絡に係る業務が含まれていることから、仕様書で請負業者に対して求めている障害発生時等に係る業務の費用は、人件費の算定に用いた積算資料のシステム運用業務等技術者の料金単価に含まれているものであった。このため、予定価格の積算に当たり、人件費とは別に障害対応費を計上する必要はなかった。

 したがって、人件費に係る管理費、障害対応費を除くなどして予定価格を修正計算すると計62,487,108円となり、本件契約額計74,355,750円は、これに比べて約1180万円割高となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事務局において、積算資料のシステム運用業務等技術者の料金単価の内容の確認及び当該料金単価を基に積算した予定価格の審査が十分でなかったことなどによると認められる。