会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)消費者庁 | (項)消費者庁共通費 |
部局等 | 消費者庁 | ||
消費者庁における非常勤職員手当の概要 | 資金前渡官吏が官署支出官の支出決定に基づき交付された前渡資金から支払う法執行専門職員等の非常勤職員の手当 | ||
消費者庁における非常勤職員手当の額 | 68,893,315円
(平成21年度)
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適正な科目から支出されていなかった非常勤職員手当の額 | 3,131,900円
(平成21年度)
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消費者庁は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)に係る業務を行う法執行専門職員及び特定商取引法執行調査員(以下、これらを合わせて「専門職員」という。)等の非常勤職員を雇用しており、毎月、非常勤職員手当(以下「手当」という。)を支払っている。この支払手続は、資金前渡の制度により、資金前渡官吏が科目別の内訳書を添付した前渡資金請求書により前渡資金を官署支出官に請求し、官署支出官がこの請求に基づき支出決定を行い、これにより前渡資金を領収した資金前渡官吏が手当を支払うものである。
資金前渡の制度では、前渡資金が交付された時点で、科目別に支出済額として整理される仕組みとなっている。したがって、資金前渡の制度を用いる際には、官署支出官の支出済額と資金前渡官吏の領収額及び支払額とが、それぞれ同一の科目において、適正に整合していなければならない。このため、資金前渡官吏が誤った科目で前渡資金を請求して交付を受け、同じ科目で支払った場合には、領収した科目及び支払った科目の更正処理を行うことになり、官署支出官も科目の更正処理を行うことになる。
そして、歳出予算は、財政法(昭和22年法律第34号)第23条の規定により目的に従って項に区分しなければならないとされ、また、同法第32条の規定により項に定める目的のほかに使用することができないとされている。このため、同庁は、平成21年度の手当について、歳出予算の項に定める目的に従って、次のとおり二つの科目から、非常勤職員の職名に応じて支払うこととしていた。
〔1〕 専門職員以外の非常勤職員の手当は、(項)消費者庁共通費(目)非常勤職員手当
〔2〕 専門職員の手当は、(項)消費者政策費(目)非常勤職員手当
本院は、合規性等の観点から、資金前渡官吏が所要額に基づいて前渡資金を官署支出官に請求しているか、官署支出官が適正な科目による支出決定を行っているかなどに着眼して、21年度の手当を対象として、消費者庁において、前渡資金請求書、支出決定簿等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり、適正とは認められない事態が見受けられた。
資金前渡官吏は、21年10月に支払った手当について、(項)消費者政策費(目)非常勤職員手当からの支払額に、誤って、(項)消費者庁共通費(目)非常勤職員手当から支払うべき手当3,131,900円を含めていた。後日、これに気付いた資金前渡官吏は、官署支出官にその旨を連絡し、翌11月に、官署支出官は科目の更正処理を行う一方、資金前渡官吏は、手当を支払った科目の更正処理を行ったが、誤って、官署支出官から領収した科目の更正処理を行っていなかった。
このため、前渡資金の(項)消費者庁共通費(目)非常勤職員手当は、支払額が領収額を上回り、同月末の残額として3,131,900円不足している状態となっており、このような状態は、22年3月まで同様であった。
そして、資金前渡官吏は、(項)消費者庁共通費(目)非常勤職員手当について、21年度の出納整理期間である22年4月に支払う同年3月分の手当の所要額を算定したが、その際、上記残額の不足3,131,900円を解消するために、所要額として算定した6,384,901円に3,131,900円を加えた9,516,801円を前渡資金の請求額として官署支出官に請求していた。
この請求を受けた官署支出官は、請求額が所要額とは異なる額であることを前渡資金請求書に添付された科目別の内訳書により把握することが可能であったのに、請求額どおりに、9,516,801円の支出決定を行って前渡資金を交付していた。
しかし、官署支出官が(項)消費者庁共通費(目)非常勤職員手当で支出決定を行った9,516,801円のうち3,131,900円は、科目の更正処理を誤ったことにより生じた前渡資金の残額の不足を解消するために本来の所要額に加えて請求されたものであることから、歳出予算の項に定めた目的に沿わない内容の支出となっていて、適正な科目から支出されておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、資金前渡官吏において、会計法令等に対する基本的な認識が十分でなかったこと、官署支出官において、支出決定を行うに当たり前渡資金の金額や科目の確認が十分でなかったことなどによると認められる。