在外公館は、事務所、公邸及び宿舎の用途に利用するために取得した土地、建物等の行政財産及びリース権並びにこれらを用途廃止した普通財産等を管理している。しかし、在外公館において、整備計画を定めないまま行政財産を長期間保有するなどしていたり、用途廃止した土地、建物等の普通財産等が処分されないままとなっていたりする事態が見受けられた。
したがって、外務省において、長期間利用しておらず今後も利用する見込みのない行政財産について早期に用途廃止することを検討するとともに、普通財産等についてはより積極的に不動産仲介業者等に処分を委託したり、現地の経済事情等を反映させるために鑑定評価額を適時に見直したり、在外公館に対する指導及び助言を十分に行ったりするなど、これらの国有財産等について早期処分に向けた措置を講ずるよう、外務大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、外務本省及び4公館において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、外務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 長期間利用されておらず今後も利用する見込みのない3公館が管理する3件の行政財産について、用途廃止後売却するとの方針を決定し、用途廃止の手続を行った。
イ 用途廃止したが処分されていない8公館が管理する13件の普通財産等については、23年3月に国有財産等の売払手続に関するマニュアルを改正したり、外務本省から在外公館に対する指導及び助言を随時行ったりすることにより、これまで不動産仲介業者等に委託していなかった在外公館も不動産仲介業者等に処分を委託したり、現地の経済事情や不動産取引状況等を反映させるために鑑定評価額を適時に見直したりして、より速やかに売却手続を進めるようにした。なお、23年9月までに、5公館が管理する5件の普通財産については売却が完了した。