会計名及び科目 | 一般会計 | (部)雑収入 | (款)国有財産利用収入 (項)国有財産貸付収入 |
部局等 | 関東財務局東京財務事務所立川出張所 | ||
所管換により引き受けた土地の概要 | 立川出張所所管の普通財産555.63m2 | ||
貸付料が納付されていなかった期間に係る貸付料相当額 | 35,936,148円(平成元年度〜22年度) |
関東財務局東京財務事務所立川出張所(以下「出張所」という。)は、東京都立川市ほか管内の市町村に所在する土地等の普通財産を管理するなどしている。このうち、立川市に所在する土地(面積555.63m2
、台帳価格34,004,556円)は、昭和22年に財産税として金銭に代えて物納され、財務省(平成13年1月5日以前は大蔵省)が引き受けて同省所管の普通財産となったが、農地であることが判明したことから昭和25年に農林水産省(53年7月4日以前は農林省)へ所管換された。農林水産省は、本件土地を借受人に農地として貸し付けていたが、51年に住宅用地として農地の転用を認めて貸し付ける(以下、この貸付けを「転用貸付け」という。)こととして、別の借受人(以下「相手方」という。)と貸付契約を新たに締結しており、これに基づき使用料を徴収していた。その後、本件土地は、相手方から買受けの要望があったことから、財務省において売払いを行うため、平成元年4月に農林水産省から財務省へ所管換されたものである。
転用貸付けされて財務省へ所管換された土地については、「旧農地法第80条第1項に定める所管換の取扱いについて」(昭和60年蔵理第1047号大蔵省理財局長通達。以下「所管換通達」という。)に基づき、借受人に対して、早期に売り払うものとされている。そして、借受人に買受け資力がない場合等当面の売払いが真に困難と認められる場合には、農林水産省の貸付契約から財務省の貸付契約に更改を行い時価による貸付けができることとなっている。ただし、農林水産省における転用貸付けの期間の満了日までに売払いが見込まれる場合には、貸付契約の更改を省略することができることとなっている。
そして、貸付けを行う場合の貸付料は、「普通財産貸付事務処理要領について」(昭和61年蔵理第2283号大蔵省理財局長通達)等の算定基準により算定することとなっている。
本院は、合規性等の観点から、本件土地の売払い、貸付け、管理等が適切に行われているかなどに着眼して、出張所において土地の管理状況を記録した書類等を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
出張所は、元年4月に所管換により引き受けた本件土地について、所管換通達に基づき相手方との間で売払交渉を行ったものの、価格が折り合わなかったため3年6月に不調となった。出張所は、本件土地の売払いが見込まれたことから、売払交渉を行っていた間において、貸付契約の更改を行っておらず、農林水産省において転用貸付けを行っていた期間には使用料が納付されていたのに、貸付料も納付させていなかった。また、同月に相手方から引き続き本件土地を借り受けたい旨の申出があったことから、出張所は、相手方に対して貸付契約を更改するための貸付申請書の提出を求めるとともに、納付させていなかった元年4月から3年6月までの間の貸付料の納付を求めたが、同申請書は提出されず貸付料も納付されなかった。その後、出張所は、相手方に対して貸付申請書の提出を促したり、既往の貸付料の納付を求めたりしたものの、貸付申請書の提出、貸付料の納付は行われなかった。そして、出張所は、8年6月に内容証明郵便により貸付申請書の提出を求めたのを最後に特段の措置を講じていなかった。
しかし、所管換通達によると、前記のとおり、貸付契約の更改を省略できるのは農林水産省における転用貸付けの期間の満了日までに限られていることから、出張所は、売払交渉とは別に同満了日である元年10月19日までに貸付申請書の提出を求めるなどして貸付契約を更改し、貸付料を納付させるべきであったのに、長期間にわたりこれを行っていなかった。また、貸付契約を更改できず、貸付料が納付されない場合には法的措置を講ずるなどすべきであったのに、これも行っていなかった。
したがって、出張所において、元年4月の所管換以降、本件土地について貸付契約を更改等しておらず、その結果、算定基準に規定された原則に基づいて算定するなどした元年度から22年度までの間の貸付料相当額35,936,148円が納付されていないことは、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、出張所において、本件土地の貸付契約の更改等について法令等の認識が十分でなかったことなどによるものと認められる。