所管、会計名及び科目 | 内閣府所管 一般会計 (組織)沖縄総合事務局 (項)沖縄総合事務局
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部局等 | 内閣府沖縄総合事務局 |
貸付財産に係る国有資産等所在市町村交付金の概要 | 国が所有する固定資産で国以外の者が使用するものについて、固定資産税に代わるものとして、当該固定資産が所在する市町村に交付するもの |
国有資産等所在市町村交付金交付先 | 沖縄県沖縄市 |
国有資産等所在市町村交付金交付額 | 36,067,178円(平成19年度〜23年度) |
過大と認められた国有資産等所在市町村交付金交付額 | 23,246,868円(平成19年度〜23年度) |
沖縄総合事務局財務部(以下「財務部」という。)は、国有資産等所在市町村交付金法(昭和31年法律第82号。平成19年9月30日までは国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律)に基づき、財務部が管理する国有財産で国以外の者が使用している土地、建物等の貸付財産について、原則として国有資産等所在市町村交付金(以下「交付金」という。)を貸付財産が所在する市町村に対し固定資産税に代わるものとして、毎年度交付している。そして、財務部は、原則として交付年度の初日の属する年の前年の3月31日現在における国有財産台帳価格である交付金算定標準額に1.4% を乗じて、交付金額を算定している。
また、財務省理財局国有財産企画課は17年9月に「市町村交付金事務マニュアル」(以下「マニュアル」という。)を策定して、財務局、財務部等の交付金事務を行う部局に対して交付金事務の適正な執行について周知しており、財務部はマニュアルに基づき18年度の交付金交付分以降の交付金事務を実施している。そして、マニュアルによると、貸付財産について交付金額が貸付料を上回る事態(以下「逆ざや」という。)が生じている場合は交付金額又は貸付料が適正なものとなっていないことが考えられることから、財務局、財務部等の交付金事務担当者は貸付担当者等に逆ざやとなっている理由を市町村交付金関係確認表(以下「確認表」という。)に記載させるなどして事務処理を検証し、逆ざやとなっている要因を把握することとされている。
土地、建物等の国有財産台帳の価格改定は、5年ごとに行われており、近年では17、22両年度の末日において「国有財産台帳の価格改定に関する評価要領について」(平成17年財理第4397号財務省理財局長通達及び平成22年財理第1874号財務省理財局長通達。以下「評価要領」という。)に基づき行われている。評価要領によると、土地の評価方式については相続税評価方式と時価倍率方式があり、相続税評価方式には所在地域等に応じて路線価方式、倍率方式等があるとされている。そして、これらの方式による評価額が評価時における近隣地域の土地の時価等に比し、著しく不適当であると認められる場合においては、不動産鑑定士による鑑定評価の評価額を考慮して国有財産台帳価格とすることができるとされている。
財務部は、沖縄県沖縄市に所在する普通財産である土地(21,408.6m2 、17年度末から21年度末までの国有財産台帳価格602,234,477円)をヨットハーバー敷地として、民間の借受人に時価で貸し付けている。また、財務部は、本件土地が交付金の対象となる貸付財産に該当することから本件土地が所在する沖縄市に対して、交付金を交付している。
本院は、合規性等の観点から、本件土地に係る交付金の算定の基となる国有財産台帳価格が適切に算定されているかなどに着眼して、財務部において、19年度から23年度までの各交付年度に交付した交付金を対象として、国有財産台帳、市町村交付金客体資産台帳等を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
本件土地については、マニュアルが策定された後の18年度から23年度までの各交付年度において、次表のとおり、交付金額が貸付料をいずれも上回っていて、計17,971,260円に上る多額の逆ざやが生じていた。
交付金 交付年度 |
交付金額(A) | 貸付料(B) | 逆ざや ((A)−(B)) |
平成18 | 4,032,985 | 3,934,907 | 98,078 |
19
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6,222,580 | 3,934,907 | 2,287,673 |
20
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6,403,850 | 3,564,238 | 2,839,612 |
21
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6,578,184 | 3,564,238 | 3,013,946 |
22
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8,431,282 | 3,564,238 | 4,867,044 |
23
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8,431,282 | 3,566,375 | 4,864,907 |
計
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40,100,163 | 22,128,903 | 17,971,260 |
そして、財務部は、マニュアルに基づき交付金事務を行っているにもかかわらず、本件土地については、各年度の交付金事務においてマニュアルに定められている確認表を作成しておらず、逆ざやの要因についても把握していなかった。
そこで、本件土地の交付金の算定の基となる国有財産台帳価格についてみたところ、次のとおりとなっていた。
すなわち、19年度から23年度までの各交付年度における交付金の算定の基となる国有財産台帳価格602,234,477円は、17年度末の価格改定の際、評価要領により路線価方式を基に不整形地補正等の修正を行い算定されたものであり、21年度末まで同額となっていた。
しかし、本件土地は崩壊の危険性のある長い護岸を有するなど特殊な土地であることから、適正に評価するには護岸工事の費用等を見込まなければならないため、路線価方式により算定することは適切ではないことから、財務部は不動産鑑定士からこのような費用を見込んだ鑑定評価を徴する必要があった。
したがって、財務部は、マニュアルが策定された以降で直近に国有財産台帳の価格改定が行われた17年度の末日において鑑定評価の評価額を考慮して適切な価格改定を行うべきであったと認められる。
現に、借受人から本件土地に対する買受けの希望があったため、財務部が22年12月に本件土地について不動産鑑定士から鑑定評価を徴したところ、護岸工事の費用等を見込んでいてその評価額は179,692,500円であり、前記の国有財産台帳価格の約3割となっていた。
上記の評価額を近隣の地価公示地の地価変動率により17年度末時点の評価額として修正計算すると183,147,292円となる。この評価額を本件土地の17年度の価格改定時の適正な国有財産台帳価格として交付金額を算定すると、19年度から23年度までの適正な交付金額は計12,820,310円となり、同期間に交付された交付金額計36,067,178円と比べて計23,246,868円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、財務部において、マニュアルに基づく交付金事務についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。