社会情勢の変化等に伴い、社会福祉施設等の整備が求められている一方で、多額の財源を投入して新たな施設を整備することには限界があることから、既存の施設を有効に活用することがより一層重要となっている。しかし、近年、少子化等に伴い廃校又は休校となっている公立小中学校が多数存在する状況において、耐用年数が残存し、かつ、耐震基準を満たしているにもかかわらず有効活用されていない廃校又は休校となっている公立小中学校の校舎及び屋内運動場(以下「廃校等施設」という。)が多数見受けられた。
したがって、文部科学省において、〔1〕 休校施設の活用状況を調査し、把握すること、〔2〕 学校を設置する市町村に対して廃校等施設の有効活用を図るために地域住民の意向を聴取するなどの体制整備についての指導を十分に行うとともに、廃校等施設を社会福祉施設等の社会的需要の高い施設として有効活用した場合の活用効果等についての周知を十分に行うこと、〔3〕 廃校等施設の有効活用を図る際に利用可能な国庫補助制度の把握、周知を十分に行うとともに、関係省庁との連携、意見交換等を十分に行うことに留意するなどして、廃校等施設の有効活用を図る処置を講ずるよう、文部科学大臣に対して平成22年9月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、廃校等施設の有効活用を図るよう、次のような処置を講じていた。
ア 休校施設の実態及び有効活用状況について実態調査を行い、22年9月にその結果を公表した。
イ 22年11月に各都道府県に通知を発するなどして、都道府県を通じて市町村に対し、廃校等施設の活用を検討する際は、地域住民や関係部局との連携を十分に行うよう周知するとともに、廃校等施設の有効活用等を図るための体制整備についての指導を行った。また、各地方公共団体に対して、廃校等施設を活用することで、同規模の建物を建設する場合と比べて費用の節約が期待できることなど、活用効果等についての周知を行うなどした。
ウ 廃校等施設を有効活用するための財政支援制度について関係省庁と情報共有、意見交換等を行い、22年11月までに、利用可能な国庫補助制度等を把握し取りまとめて、上記の通知において周知するなどした。