衛生関係指導者養成等委託費(インターネットを活用した専門医の育成等事業に係る分。以下「補助金」という。)は、技能向上のための学習を十分に行うことができないがん医療に専門的に携わる医師のために、インターネット上での技能習得を可能とするための環境を構築することなどを目的として、国が交付するものである。そして、平成20、21両年度においては、交付要綱等に基づき、財団法人がん集学的治療研究財団(以下「財団」という。)が事業を実施することとされ、財団に対して補助金が交付されている。
補助金の交付額は、交付要綱等に定められている基準額と対象経費の実支出額(以下「実支出額」という。)とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して少ない方の額とすることとなっている。
本院が、補助金について、財団において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助金交付額 | 不当と認める補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | ||||||
(158) | 厚生労働本省 | 財団法人がん集学的治療研究財団 | インターネットを活用した専門医の育成等事業 | 20、21 | 202,676 | 17,355 | 対象外経費を計上していたものなど |
財団は、20、21両年度に本件補助事業を実施しており、両年度とも、基準額、実支出額及び差引額が全て同額であったことから、これにより、計202,676,000円の補助金の交付を受けていた。
しかし、財団は、実支出額の算定に当たり、本件補助事業の対象経費とはならない常勤職員の人件費を含めるなどしていたため、実支出額が過大となっていた。
したがって、適正な実支出額に基づいて20、21両年度の補助金を算定すると計185,321,000円となることから、交付額との差額計17,355,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、財団において、交付要綱等の理解が十分でなかったこと、厚生労働省において、財団から提出された事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。