地域生活支援事業費等補助金(以下「補助金」という。)は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)等に基づき、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、都道府県が行う専門性が高い相談支援事業等の都道府県地域生活支援事業、市町村(特別区を含む。)が行う屋外移動の困難な障害者等に対する移動支援事業等の市町村地域生活支援事業等に要する費用について、その一部を国が補助するものである。
補助金の交付額は、交付要綱等に基づき、次のように算定することなどとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額を補助対象事業費として、これに補助率100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、18都府県及び管内の109市区町において会計実地検査を行ったところ、2県の3市において、補助金の算定に当たり、誤って対象経費の実支出額に翌年度の予算で支払った経費を含めていたり、対象外経費を計上していたりなどしていたため、補助金5,640,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3市において、補助対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、2県において、事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
神奈川県平塚市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、平成19年3月分の移動支援事業等に係る費用について、その支払の請求を受けた同年4月に、翌年度(19年度)の予算で支払を行っていたことから19年度の対象経費に計上していた。その一方で、同市は、誤って、当該費用を同時に18年度の対象経費にも含めるなどしていた。
この結果、補助対象事業費が5,194,894円過大に算定されて、これに係る補助金2,598,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(210) | 神奈川県 | 平塚市 | 18 | 96,307 | 48,150 | 5,194 | 2,598 | 翌年度予算で支払った経費を含めていたものなど |
(211) | 同 | 茅ヶ崎市 | 18 | 57,843 | 28,919 | 2,852 | 1,426 | 対象経費の集計を誤っていたものなど |
(212) | 滋賀県 | 草津市 | 18 | 42,809 | 21,402 | 3,231 | 1,616 | 対象外経費を計上していたもの |
(210)—(212)の計 | 196,960 | 98,471 | 11,279 | 5,640 |