障害児施設措置費(給付費等)国庫負担金(以下「負担金」という。)は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づき、障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、都道府県、政令指定都市等(以下「都道府県等」という。)が障害児施設に児童を入所させるなどの措置をした場合に要する費用(以下「措置費」という。)及び児童の保護者の申込みにより都道府県知事等が指定する障害児施設から障害児施設支援を受けた場合に、都道府県等が当該保護者に支給する障害児施設給付費等(以下「給付費等」という。)の一部を国が負担するものである。
なお、障害児施設の利用については、平成18年10月以降、従来の措置制度から原則として契約制度に移行し、措置による入所は、保護者が不在であるなどのため利用契約の締結が困難な家庭の児童に限られることとなった。このため、同年9月までは措置費のみ支給されていたが、同年10月以降は措置費及び給付費等が支給されている。
負担金の交付額は、交付要綱等に基づき算定することとなっており、このうち措置費については、以下のとおりとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した障害児施設への支弁総額と児童等の措置のために要した費用から寄附金を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額から、児童の扶養義務者の前年分の所得税等の税額等による階層区分によって定められた徴収金基準額(以下「徴収金」という。)を控除した額を国庫負担対象事業費として、これに国庫負担率2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
また、給付費等については、障害児施設支援に要する費用につき、厚生労働大臣が定めた基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額と給付費等の支給に要した費用の額(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を国庫負担対象事業費として、これに国庫負担率2分の1を乗じて得た額を交付額とすることとなっている。
本院が、16府県4市において、会計実地検査を行ったところ、3県において、負担金の算定に当たり、徴収金の算定を誤ったり、対象経費の実支出額の集計を誤ったりなどしていたため、負担金16,215,630円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3県において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、徴収金等の調査確認が十分でなかったこと、厚生労働省において、事業主体に対する適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
茨城県は、徴収金について、児童の扶養義務者の税額等による階層区分によって定められた金額ではなく、誤って、実際に収納した金額で算定していた。
この結果、国庫負担対象事業費が4,415,260円過大に算定されており、これに係る負担金2,207,630円が過大に交付されていた。
以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(213) | 茨城県 | 茨城県 | 障害児施設措置費 | 18 | 1,458,851 | 729,425 | 4,415 | 2,207 | 徴収金の算定を誤っていたもの |
(214) | 滋賀県 | 滋賀県 | 障害児施設措置費(給付費等) | 20 | 1,455,968 | 727,984 | 23,995 | 11,997 | 対象経費の集計を誤っていたものなど |
(215) | 宮崎県 | 宮崎県 | 障害児施設措置費 | 18、20、21 | 1,683,445 | 841,722 | 4,020 | 2,010 | 徴収金の算定を誤っていたもの |
(213)—(215)の計 | 4,598,265 | 2,299,132 | 32,431 | 16,215 |