地域介護・福祉空間整備推進交付金(夜間対応型訪問介護分。以下「交付金」という。)は、「地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律」(平成元年法律第64号)に基づき、民間事業者が実施する夜間対応型訪問介護の実施のために必要な事業に対して市町村(特別区を含む。以下同じ。)が補助する場合に要する費用等を対象として市町村に交付するものであり、市町村が作成した面的整備計画に記載された施設に係る経費が対象となっている。
交付金の交付対象となる経費は、交付要綱等において、利用者の心身の状況等の情報を蓄積して適時適切に利用者からの通報を受け付けることができるケアコール端末等の通信機器等の購入費、事業立ち上げの初年度に必要なその他の経費等とされている。そして、交付金の交付額は、対象経費の実支出額の合計額と基準額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額の合計額とを比較して、少ない方の額とされている。
本院が、2市の2事業主体において、平成20年度に交付された交付金について会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事 業者 (事業主体) |
年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(273) | 九州厚生局 | 宮古島市 | 医療法人沖縄徳洲会宮古島徳洲会病院 | 20 | 20,296 | 20,000 | 13,867 | 13,572 | 対象外経費を計上していたもの |
医療法人沖縄徳洲会宮古島徳洲会病院は、20年度の交付金事業の実施に当たり、ケアコール端末等を12,292,560円で購入したとする事業実績報告書を21年3月に宮古島市に提出していた。
しかし、実際は、ケアコール端末等は事業実績報告書提出後の同年4月及び同年5月に納品されていて、年度内に事業が完了していなかった。また、事業実績報告書において、夜間対応型訪問介護事業研修及び事業立上げ支援業務委託費として、1,575,000円を委託業者に支払ったとしていたが、実際は支払の実績がなかった。
したがって、本件交付金事業は、同病院において交付の対象とならない経費を計上していたため、交付対象事業費が13,867,560円過大となっており、これに係る交付金13,572,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同病院において、事業の適正な実施に対する認識等が十分でなかったこと、宮古島市において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。