知的障害者施設訓練等支援費等国庫負担金(以下「負担金」という。)は、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)に基づき、知的障害者の福祉を図ることを目的として、市町村(特別区を含む。)が、都道府県知事の指定する知的障害者更生施設等から知的障害者施設支援を受けた知的障害者に対して、施設訓練等支援費等を支給した場合等に、その費用の一部を国が負担するものである。
ただし、施設訓練等支援費のうち知的障害者通勤寮支援に係る費用(以下「知的障害者通勤寮支援費」という。)は、負担金とは別の知的障害者通勤寮支援費補助金の交付対象とされているため、負担金の交付対象とはされていない。
負担金の交付額は、交付要綱等に基づき、施設訓練等支援費等の費目ごとに次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金の額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 施設訓練等支援費を含む一部の費目については、〔1〕 により選定された額から、所定の方式によって算定した利用者負担基準額等を控除する。
〔3〕 〔1〕 又は〔2〕 により算定された額を国庫負担対象事業費として、これに補助率10分の5を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、16府県の88市町において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(288) | 滋賀県 | 大津市 | 18 | 530,958 | 265,479 | 5,188 | 2,594 | 対象外経費を計上していたものなど |
大津市は、対象経費の実支出額の算定に当たり、誤って、負担金の交付対象とならない知的障害者通勤寮支援費を計上するなどしていた。
この結果、国庫負担対象事業費が5,188,275円過大に算定されており、これに係る負担金2,594,137円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、滋賀県において、事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。